新型コロナウイルスの感染拡大によって、「失業し収入がなくなった」、「仕事を休むことが増え、収入が減った」という人も多いと思います。
業種によっても影響は様々でしょうが、緊急事態宣言が東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡の7つの都府県で出されたことを受けて、より経済への影響は大きくなることが予想されます。(※2020年4月16日には対象地域が全都道府県に拡大、その後同年5月25日に全面解除となりました)
ニュースを見ていると「一世帯30万円」といった現金給付などの検討も進んでいるようですが、全世帯が対象になるわけではありません。
また、仕事を失ったとなると30万円の給付では一時しのぎにしかならないでしょう。
そこで、以前からある公的な支援制度を活用することもできるので、新たな制度を待つのではなく、必要な方は積極的に利用できる制度がないかを調べることも重要です。
例えば、仕事を失った方は「失業保険(基本手当)」、未払いの賃金がある人は「未払賃金立替払制度」など利用できそうな制度はたくさんあります。
公的な支援制度は手続きをしないとサポートを受けられないものもがほとんどです。
そのため、その制度を利用できるのか、どの程度の支援を受けられるのか、給付・融資のどちらなのかをしっかりと把握して、制度を活用してください。
この記事では、企業への助成金ではなく、主に個人の労働者目線で仕事を失った、仕事を休んだときに利用できる制度についてまとめました。
まずはどのような制度があるのかを知り、利用できる制度を具体的に検討していきましょう。
目次
失業時・休業時に利用できる公的な支援制度一覧
まずは、大まかにどのような制度があるのかを把握しましょう。
公的な支援制度なので対象にならないケースもありますが、次のように多くの制度があるのです。
種別 | 支援制度名 | 手続き場所・相談先 |
失業時 | 失業保険 | ハローワーク |
高年齢求職者給付金 | ||
傷病手当(雇用保険) | ||
未払賃金立替払制度 | 労働基準監督署 | |
住居確保給付金 | 自治体の福祉課 | |
生活保護 | 自治体の福祉事務所 | |
休業時 | 休業手当 | 申請不要 |
傷病手当金(健康保険) | 協会けんぽ支部 | |
休業補償給付 | 労働基準監督署 | |
介護休業給付 | ハローワーク | |
緊急支援策 | 緊急小口資金 | 社会福祉協議会 |
総合支援金 | ||
小学校休業等対応助成金 | 勤め先の担当者など |
失業時に役立つ制度
仕事を失ってしまった場合には、次のような制度を利用できる可能性があります。
代表的なものは失業保険(基本手当)ですが、それ以外にも様々な制度があるのです。
- 失業保険(基本手当)
- 高年齢求職者給付金
- 傷病手当(雇用保険)
- 未払賃金立替払制度
- 住居確保給付金
- 生活保護
失業保険(基本手当)
会社で勤めていたときに雇用保険に加入していたのであれば、失業後、次の仕事が見つかるまでの間の生活費を受け取ることができます。
これを失業保険・失業手当ということも多いですが、正式には雇用保険の基本手当にあたります。
求職中でも生活や、再就職活動にはお金がかかるので、そのための費用を基本手当でまかなうことが可能です。
再就職する意思があるという前提ですが、失業保険を利用することで当面の生活費の支援を受けながら次の仕事を探すことができるでしょう。
失業保険の受給は、住んでいる地域を管轄するハローワークで手続きしてください。
手続き場所 | ハローワーク(公共職業安定所) |
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給付対象の概要 | 雇用保険の被保険者期間が、退職するまでに12ヶ月以上あること。 |
給付される金額の目安 | (離職前6ヶ月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率(45〜80%)×給付日数 |
高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金も失業保険ですが、対象が65歳以上になります。
65歳未満は基本手当、それ以上は高年齢求職者給付金と考えると良いでしょう。
例えば、65歳で定年を迎えまだ働く意欲はあるものの、仕事が決まらないといった場合に利用可能です。
通常の失業保険と同様にハローワークで手続きをし、再就職に向けて活動することになります。
基本手当とは受給の条件が異なるので、その点には注意してください。
手続き場所 | ハローワーク(公共職業安定所) |
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給付対象の概要 |
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給付される金額の目安 | (離職前6ヶ月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率(50〜80%)×給付日数(30日、または50日) |
傷病手当(雇用保険)
雇用保険における傷病手当は、求職活動中のケガや病気が原因で再就職できない場合に、基本手当の代わりに受け取れる手当です。
基本手当は再就職を支援するための制度なので、ケガや病気で求職活動できない場合に受け取ることはできません。
傷病手当はそのようなときのための制度で、たとえ求職活動が難しいような状況でも傷病手当であれば受け取ることができるのです。
手続き場所 | ハローワーク(公共職業安定所) |
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給付対象の概要 | 基本手当の受給手続き後に、病気・ケガで15日以上求職活動できない状態になった人 |
給付される金額の目安 | 雇用保険(基本手当)と同額 |
未払賃金立替払制度
勤め先が倒産するなどして、未払いになった給与の一部を立て替えてもらう制度です。
対象となるのは未払いの月々の給与や退職手当で、ボーナスは立て替えの対象にはなりません。
未払賃金の8割が立て替えの対象ですが、退職したときの年齢によって上限(88万円〜296万円)が決められています。
手続き場所 | 労働基準監督署 |
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給付対象の概要 | 事業活動を1年以上行なっていた企業が倒産する半年〜2年前の間に退職し、2万円以上の未払賃金がある人 |
給付される金額の目安 | 未払賃金の8割 |
住居確保給付金
失業したことが原因で住む家を失った、もしくは失う可能性のある方を対象に、賃貸住宅の家賃を支給する制度です。
支給期間は原則3ヶ月ですが、再就職に向けてしっかりと活動していれば最長9ヶ月まで期間を延長することもできます。
ただし、支給には収入面での条件もあるため注意してください。
住んでいる場所によって基準は違いますが、申請した月の世帯収入の合計が「基準額+家賃額以下」という条件を満たす必要があります。
手続き場所 | 住んでいる自治体の福祉課 |
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給付対象の概要 |
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給付される金額の目安 | 家賃相当額×原則3ヶ月(最長9ヶ月) |
例えば、東京都の1級地の場合、単身世帯は月額13.8万円、二人世帯は月額19.4万円、三人世帯は24.1万円というのが収入要件になります。
また、以前は65歳未満という年齢要件もありましたが、2020年4月1日より65歳以上も対象になります。
生活保護
失業時だけではありませんが、他の制度を活用しても最低限の生活を送るのが難しいというときは生活保護の対象になるかもしれません。
生活保護は困窮具合に応じて、世帯単位で保護費が支給されます。
保護の種類と内容によって支給金額は変わり、医療サービスの費用(医療扶助)、介護サービスの費用(介護扶助)に関しては、本人の負担はありません。
ここまでに紹介してきた各種手当とは、対象者、制度の目的などが違うので注意が必要です。
手続き場所 | 住んでいる自治体の福祉事務所の生活保護担当窓口 |
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給付対象の概要 | 世帯収入が厚生労働大臣の定める最低生活費に満たないことなど |
給付される金額の目安 | 最低生活費と世帯全体の収入との差額 |
仕事を休んだときに役立つ制度
次に、仕事を休んだ場合、休まざるを得ない場合に利用できる制度について見ていきましょう。
休んだ理由などによって利用できる制度が異なるので注意が必要です。
- 休業手当
- 傷病手当金(健康保険)
- 休業補償給付
- 介護休業給付
休業手当
休業手当は労働基準法にもとづくもので、会社から休むように指示された場合には、労働者(パート・アルバイトを含む)の賃金日額の60%以上を支給しなければいけないと決められています。
賃金日額は直近過去3ヶ月の賃金総額を総日数で割り平均を算出します。
申請の必要はありませんが、労働日数ではなく総日数で割った平均額になるため、単純に給与の6割以上が支給されるわけではない点に注意が必要です。
また、法律では「使用者の責に帰すべき事由による休業」という言葉が使われています。
つまり、会社の都合で従業員に休業を命じた場合の手当ということです。
会社に責任のないような理由での休業については対象になりません。
手続き場所 | 申請の必要なし |
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給付対象の概要 | 勤め先から休業を指示された人 |
給付される金額の目安 | 賃金日額の60%以上×休業日数 |
「コロナウイルスの感染拡大による休業補償」と「労働基準法にもとづく休業手当」は別の制度なので注意しましょう。
傷病手当金(健康保険)
健康保険の傷病手当金は、病気やケガで働くことができなくなった場合に給付を受けられる制度です。
ただし、仕事中に負ったケガなどは労災保険の対象で、健康保険の対象にはなりません。
業務外でのケガ、病気によって会社を休んだ日が3日継続した時点で待機期間が成立し、4日目以降から傷病手当が支給されることになります。
手続き場所 | 健康保険証に記載されている管轄の協会けんぽ支部 |
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給付対象の概要 |
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給付される金額の目安 | (支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3×最長1年6ヶ月 |
休業補償給付
休業補償給付は、業務や通勤が原因のケガ、病気で働けなくなった場合の給付金です。
先ほど紹介した傷病手当金と同様に、連続3日の待機期間後、4日目以降から給付の対象になります。
補償は「休業(補償)給付」と「休業特別支給金」の2つに別れており、合計で給付基礎日額の80%が支給額となります。
手続き場所 | 労働基準監督署 |
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給付対象の概要 |
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給付される金額の目安 | 給付基礎日額×80%×休業日数 |
介護休業給付
自身のケガや病気以外に、家族の介護によって仕事を休む場合でも給付を受けることができます。
介護休業給付は、常時介護を必要とする家族の介護のために2週間以上にわたって休業する場合に申請が可能です。
家族とは、配偶者、父母(養父母を含む)、子ども(養子を含む)、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
また、介護休業を開始する前2年間に、被保険者期間が12ヶ月以上あることも条件なので注意しましょう。
手続き場所 | 在職する事業所を管轄するハローワーク |
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給付対象の概要 | 2週間以上の常時介護を家族に対して行う人 |
給付される金額の目安 | 休業開始時の賃金日額×67%×支給日数(1回あたり93日が上限) |
緊急支援(公的な貸付制度など)
給付金の制度だけでなく、場合によって公的な貸付制度も役立ちます。
貸し付けなので返済は必要ですが、超低金利、もしくは無利子で利用できるものもあるのです。
- 緊急小口資金
- 総合支援資金
- 小学校休業等対応助成金
緊急小口資金と総合支援資金はもともとあった貸付制度ですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、制度の対象者などが拡大されています。
緊急小口資金
緊急小口資金は、貸し付けによって経済的な自立を促進することを目的とした「生活福祉資金貸付制度」の1つです。
通常、公的な支援制度、貸付制度の審査にはそれなりの時間がかかります。
ただ、緊急小口資金については、緊急かつ一時的な資金を必要とする世帯への融資なので、比較的スピーディに審査が行われます。
申し込みから貸し付けまでは最短5営業日ほどです。
緊急小口資金を利用するためには、住んでいる自治体の社会福祉協議会で相談をした上で、申し込みの手続きをしてください。
手続き場所 | 住んでいる自治体の社会福祉協議会 |
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貸付対象の概要 | 以下の条件を満たす世帯。
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貸付金額 | 最大10万円 |
貸付利率 | 無利子 |
特例貸付の概要 | 新型コロナウイルスの影響による休業などで収入が減少し、緊急かつ一時的な生活維持のために資金が必要となった場合に、最大20万円の貸し付け。 連帯保証人不要、無利子で返済期間は2年以内(据置期間は1年以内)。 |
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、最大20万円までと貸付金額が増額されました。収入の減少により生計の維持が困難になった場合には、最大20万円の融資を受けられ、返済期間も本来の12ヶ月以内から24ヶ月以内まで延長されています。
総合支援資金
総合支援資金も「生活福祉資金貸付制度」の1つで、低所得者世帯に加えて、障害者世帯、高齢者世帯も融資の対象になります。
貸付資金の利用目的によって次の3種類に分類され、資金使途ごとに限度額が決められています。
- 生活支援費・・・月15万円以内(単身世帯の場合)
- 住宅入居費・・・40万円以内
- 一時生活再建費・・・60万円以内
新型コロナウイルスの影響によって収入の減少、失業などが生じて生活が難しくなった場合には、生活支援費を活用することができます。
ただし、先に紹介した緊急小口資金の特例貸付と同時に利用することはできないので注意が必要です。
手続き場所 | 住んでいる自治体の社会福祉協議会 |
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貸付対象の概要 | 条件を満たす次のいずれかに該当する世帯。
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貸付金額 | 60万円以内(一時生活再建費の場合) |
貸付利率 |
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特例貸付の概要 | 新型コロナウイルスの影響により収入の減少、失業などがあり生活の維持が困難になった世帯を対象に、月額15万円以内(単身世帯の場合)、月額20万円以内(世帯人数2人以上の場合)を貸し付け。 連帯保証人不要、無利子で、返済期間は10年以内(据置期間1年以内)。 |
本来は、連帯保証人なしの場合には年1.5%の利子が発生します。ただし、コロナウイルスによる特例貸付では連帯保証人なしでも無利子で制度を利用することが可能です。
小学校休業等対応助成金
小学校の臨時休校に伴い、子どもの世話をする必要のある保護者が有給を取得した場合の助成金です。
創設されたばかりの制度で、申請の受付開始は2020年4月15日頃の公表予定となっています。
また、就業形態によっても内容が異なるので、会社勤めの場合には、勤め先の担当者に確認をしてください。
その他(公共料金や税金の延納・分割払い)
失業や収入の減少があっても、電気やガスなどの公共料金、各種税金の支払いはなくなりません。
ただ、相談をすることで、支払い期限を延長してくれたり、分割での支払いを認めてくれたりする場合もあります。
例えば、国税に関しては、新型コロナウイルスの影響によって納税が困難な場合には、納付を本来の期限よりも原則1年以内で先延ばしにすることが可能です。(法令による要件あり)
納付期限前でも相談は可能なので、状況を整理した上で早めに相談することが大切です。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、新たな支援制度、貸付制度の創設も検討されていますが、この記事で紹介したような従来の制度も検討することが重要です。
ニュースで取り上げられることの多い休業補償に関しては、特定の仕事が対象外であったり、企業が一部負担するため、あえて手続きをせずに独自の補償を行ったりする企業も出てきています。
第二弾、第三弾の支援制度も検討されているようですが、まだ具体的な話が出ていない制度に頼るのは不安ですよね。
住んでいる自治体によっては独自の制度を創設したところもあるようなので、利用できるものがないかを調べてみてください。
また、公的融資ではどうしても借り入れまでに1週間以上かかるため、早くお金を借りる必要があるという方は、30日間の無利息サービスもあるカードローンもご検討ください。
※借り入れにはアルバイトなどの安定収入が必要です。
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