「再就職が決まっていないのに、ケガ(病気)で求職活動もできない…」
まずはケガや病気を治すことが重要ですが、経済的な余裕がない中で求職活動できないのは焦りますよね。
そんなときは、傷病手当によってその間の生活費や療養費・治療費などを補填でき、働けない間の生活を安定させられます。
ただし、傷病手当を貰うためにはハローワークでの申請が必要で、受給には様々な条件があるのです。
この記事では傷病手当とはどのような制度なのかについて詳しくまとめました。
目次
傷病手当とはどんな制度?
傷病手当とは雇用保険の手当の1つで、ケガ・病気で求職活動ができない場合に、基本手当(失業保険)に代わって受け取れる給付金です。
失業保険は求職活動をしていて、かつ、いつでも就業できる状態でないと受け取ることはできません。
つまり、ケガ・病気で活動できないような状態では受給条件を満たせないということです。
再就職もできず、失業保険も受給できないとなると日々の生活さえもままならないので、その代わりに傷病手当を受け取れるのです。
ハローワークにて失業保険の受給手続き後、ケガ・病気で就業することができない状態が15日以上続く場合には、傷病手当の受給申請をしてください。
傷病手当の受給条件については次で詳しく説明していきますが、14日以内のケガ・病気であればそのまま基本手当を貰えます。
傷病手当(雇用保険)を貰うための条件
雇用保険の傷病手当を貰うための条件は、主に次の2つです。
- 基本手当(失業保険)を受給している
- 15日以上引き続いてケガ・病気で就業できない状態である
①基本手当(失業保険)を受給している
先ほどもいいましたが、傷病手当は基本手当に代わって受給できるものです。
そのため、基本手当の受給申請をハローワークで行なっていない方は対象にはなりません。
基本手当を受給するための条件は、大まかにいうと次の3つになります。
- 再就職しようという積極的な意思があること
- いつでも就職できる能力があること
- 仕事に就くことができない失業状態にあること
これらの条件を満たし、ハローワークで受給の手続きをすることで失業保険を貰えます。
ただ、病気やケガになると、②「いつでも就職できる能力があること」という条件を満たせなくなりますし、療養・治療が長期になればそもそも求職活動も難しいでしょう。
そのため、一定の条件下では、基本手当ではなく傷病手当を代わりに受給するのです。
②15日以上引き続いてケガ・病気で就業できない状態である
傷病手当の受給には「15日以上引き続いてケガ・病気で就業できない状態である」という条件があります。
前述の通り、ケガや病気で就業できない期間ができても、それが14日までであれば基本手当をそのまま受給して大丈夫です。
そのため、就業できない状態が短期の場合や、問題なく求職活動を継続できる場合には傷病手当の受給条件を満たさないので注意してください。
ポイントは「15日以上」と「ケガ・病気で就業できない状態」の2点です。
傷病手当(雇用保険)はいくら貰える?
勘違いしやすいですが、雇用保険の傷病手当を受給した場合、基本手当を受け取るよりも得するわけではありません。
傷病手当で貰える金額は基本手当と同額です。
すでに基本手当を貰ってる方は、その同額が傷病手当の受給期間中に貰えると思ってください。
ちなみに、基本手当は次の計算式で受給金額が決められています。
(離職前6ヶ月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率(45〜80%)
失業日までの直近6ヶ月の給与を180で割り、それに45%〜80%の給付率をかけて1日の給付金額が決まります。
ただし、その金額がケガ・病気の期間ずっと貰えるわけではありません。
次章では傷病手当の給付期間について説明していきます。
傷病手当(雇用保険)を受給できる期間は最大何日?
雇用保険の傷病手当は、もともとの基本手当の所定給付日数によって受け取れる日数が違います。
基本手当は原則1年以内ですが、給付期限を延長する場合には最大で+3年間の延長が可能です。
つまり、合計で最長4年の給付期間となります。
ただし、その期間中ずっと給付を受けられるわけではなく、実際の給付日数は次の通りです。
「基本手当の所定給付日数」ー「すでに基本手当を受給した日数」
例えば、基本手当ての所定給付日数が90日で、すでに60日の給付を受けているとします。
その場合には、残りの30日が傷病手当を受給できる最大日数となるのです。
傷病手当は基本手当の代わりになるものなので、基本的に給付日数そのものが増えるわけではないことを覚えておきましょう。
30日以上の場合は基本手当ての支給期間を延長できる
ケガ・病気によって就業できない状態が30日以上続くのであれば、基本手当ての支給期間を延長することができます。
前述の通り、実際に給付のある日数は一緒なので金額が増えるわけではありませんが、申し出れば基本手当の受給期間を最長4年まで延長でき、後から受給できなかった分を貰うことができるのです。
ケガ・病気によって就業できない期間がどのくらい続くのかによって、「基本手当」、「傷病手当」、「傷病手当 or 基本手当の延長」となります。
30日以上では傷病手当を受け取るか、基本手当の受給期間を延長するかを選択できるのです。
14日以内 | 基本手当 |
---|---|
15日以上〜30日未満 | 傷病手当 |
30日以上 | 傷病手当、または基本手当の延長 |
基本手当の受給期間は原則1年以内なので、必要に応じて延長の手続きをするようにしてください。
例えば、すぐにでも通院や生活費などが必要という方は傷病手当を貰い、求職活動を再開してからのことを考えるのであれば基本手当の受給期間を延長しても良いかもしれません。
傷病手当(雇用保険)を受給する方法
雇用保険の傷病手当を受給するためには、ハローワークでの申請が必要になります。
「傷病手当支給申請書」、「受給資格証」を持って、住所を管轄するハローワークで手続きしてください。
申請書は最寄りのハローワークで入手できる他、ネット(ハローワークインターネットサービス)からも所定の用紙をダウンロードすることが可能です。
申請書には担当の医師が記入する箇所もあるので、事前にホームページから用紙をダウンロードしておけば何度もハローワーク、病院に足を運ぶ必要はないでしょう。
また、申請書はネット経由での提出(電子申請)もできます。
ケガ・病気でハローワークへ来所するのが困難な場合には、電子申請も活用するようにしてください。
傷病手当支給申請書は本人以外の代理人の提出、もしくは郵送による提出なども認められています。
詳細は最寄りのハローワークに問い合わせましょう。
傷病手当(雇用保険)と傷病手当金(健康保険)の違い
この記事では雇用保険の傷病手当について説明してきましたが、名称の似ている制度に「傷病手当金(健康保険)」があります。
こちらは健康保険の制度であり、在職中のケガ・病気に対する給付金です。
そのため、すでに失業している場合には傷病手当金を受け取ることはできません。
健康保険に加入しており、ケガや病気で働けなくなった場合には健康保険の傷病手当金を活用しましょう。
ただし、働けない期間の給与が会社から支払われている場合には支給されません。(一定額に満たない場合には差額のみ支給されます。)
傷病手当と傷病手当金はまったく違う制度なので、自身の状況に応じて利用できる制度を選択してください。
基本手当の手続きをする前にケガや病気で求職できなくなった場合はどうすれば良い?
中には雇用保険の基本手当の受給申請をする前にケガや病気で求職活動ができなくなったケースもあると思います。
先ほど説明したように、まだ在職中であれば健康保険の傷病手当金を受給できるかもしれません。
しかし、すでに会社を退職してしまっている場合には、どうすれば良いのでしょうか?
もしハローワークで手続きする前にケガ・病気になってしまったら、基本手当の受給期間を延長してください。
基本手当は原則1年以内ですが、正当な理由があり就業できない期間がある場合には、その日数分だけ延長することができるのです。
受給期間の延長は、離職日の翌日から30日が経過していれば手続きできます。
申請するのが遅くなると本来の日数分の受給ができないケースもあるため、所定の日数が経過したら速やかに手続きしましょう。
手続きには次のようなものが必要になります。
- 受給期間延長申請書
- 離職票−2
- 雇用保険受給資格者証
- 給付期間延長の理由を証明する書類
- 印鑑
まだハローワークで基本手当を受給する手続きをしていない場合には「離職票−2」が必要です。
基本手当の手続きはしており、その後、延長する場合にはすでに「離職票−1、−2」を提出している状態なので、離職票ではなく「雇用保険受給資格者証」を提出します。
申請書はハローワークで交付してもらえ、提出は郵送でもかまいません。
「手続きせずに本来貰えるはずだった給付金を受け取れない」といったことがないように、所定の期間内にしっかりと手続きしてください。
【まとめ】傷病手当はケガ・病気で求職活動できないときの給付制度!日数次第では基本手当の延長も可
雇用保険の基本手当は「再就職する意思があるものの就業できない人」のための制度です。
ケガや病気などで働けない状態だと基本手当の受給条件を満たしていません。
そのため、基本手当の申請後、ケガや病気などで働けないが15日以上続いた場合には、傷病手当を代わりに受け取ってください。
傷病手当であれば求職活動ができない期間中も、基本手当と同額の給付を受けられます。
また、その期間が30日以上になった場合には、基本手当の受給期間を最大4年まで延長することも可能です。
給付のタイミングを後ろ倒しにできるので、いつ求職活動を再開できるかによって、傷病手当を引き続き貰うのか、基本手当の受給期限を延長するのか選択しましょう。
ただし、受給期間の延長をしても、もともと貰える金額が増えるわけではありません。
給付のタイミングが調整できるという話なので、その点には注意してください。
傷病手当は基本手当と同様にハローワークで必要な書類を交付してもらったり、申請の手続きしたりできます。
手続きに期限が決められていることも多いので、最寄りのハローワークで詳細を確認しながら申請することがおすすめです。
なおマニプラでは、「お金を借りたいけど、どこから借りるのがいいのかわからない・・・」あなたのために、状況に応じたさまざまなお金を借りる方法を提案しています。
公的融資はもちろん、他にも消費者金融や銀行カードローンなどたくさんの方法がありますから、お金の借入に関する解決策をお探しの方は、ぜひマニプラをご活用ください!