延期されていた消費税増税もいよいよ決定されるのだろうかと心配になったり、いまのままの低金利は今後も続くのか、見通しの立たない世の中ですよね。
今後の展開を不動産業界ではどのように読んでいるのか、今後押さえておきたい税制度と一緒に紹介します。
今後注目の税制度
住宅を購入するときに利用する2大税制度といってもいいのが、「住宅取得等資金の非課税贈与」と「住宅ローン控除」ですね。
住宅ローン控除は、増税でもいまのところ、枠が拡充される話は出ていません。
※2018年10月追記
安倍首相は10月15日に臨時閣議をひらき、予定通り2019年10月に消費税率を10%に引き上げる対策の検討を進めていくよう指示を名言しました。
消費税アップに伴う、駆け込み需要・反動減の対策として住宅購入時の税制面で支援する施策も検討を進めているとのこと。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36481150V11C18A0MM0000/
一方、住宅取得等資金の非課税贈与は次の通り、非課税枠が契約の時期によって変わります。
年間110万円を超えるお金をもらうと贈与税がかかるのが原則ですが、住宅を購入するための頭金にするお金なら一定額までは贈与税を免除しましょうという制度です。
消費税8%のときは、契約が平成32年3月31日までのものは、一般の住宅で700万円までが非課税で親から子へ贈与できます。
消費税が10%になったときの契約は、平成32年3月31日までは一般の住宅で2,500万円までが非課税になります。
ただし、10%になった直後のこのときを境に、平成32年4月1日~平成33年3月31日の契約では、非課税枠は一般の住宅で1,000万円に大きく減ってしまうのです。
消費税の増税直後の冷え込みを大きな税金の優遇を行うことで緩和したいのが思惑だからです。
親から多額の援助があるときは、このタイミングを合わせるといいかもしれません。
他には、人によってもらえる、もらえないがある「すまい給付金」も消費税の増税でもらえる金額ともらえる人が増える予定です。
すまい給付金は、年収に応じて給付額が変わります。今後の消費税の増税での給付額の増え方がポイントです。
消費税が上がると、住宅を購入したくても、家計の負担が増えると考えられます。
年収が低いほど、消費税の増税による影響が大きいと考えられるため、年収が少ない人に多くの給付金が出ます。
所得割額で給付金が決まるので、年収と家族構成によっても給付額は変わりますが、目安として下記のような年収で給付額は次のようになります。
- 年収425万円以下:30万円
(都道府県民税の所得割6.89万円以下) - 年収425万円超475万円以下:20万円
(都道府県民税の所得割6.89万超8.39万円以下) - 年収475万円超510万円以下:10万円
(都道府県民税の所得割8.39万超9.38万円以下)
- 年収450万円以下:50万円
(都道府県民税の所得割7.6万円以下) - 年収450万円超525万円以下:40万円
(都道府県民税の所得割7.6万超9.79万円以下) - 年収525万円超600万円以下:30万円
(都道府県民税の所得割9.79万超11.9万円以下) - 年収600万円超675万円以下:20万円
(都道府県民税の所得割11.9万超14.06万円以下) - 年収675万円超775万円以下:10万円
(都道府県民税の所得割14.06万超17.26万円以下)
年収が低い人の貰える額が増える!
消費税8%では、年収500万円前後の人までしか貰えなかったのに、消費税が上がることで、年収700万円の人まで貰える可能性があるのです。
複数の人で不動産の持分を共有しているときは、持分の割合によって給付額が変わります。
すまい給付金は、住宅ローンなしの現金購入の50歳以上の人も対象になるので、定年退職後に、収入がない人が現金購入で住宅を取得するときにも給付が受けられます。
今後の住宅ローン
金利の低さで選ぶことも多いとは思いますが、昨今は住宅ローンを契約している人向けのサービスが付加されたタイプの住宅ローン商品があります。
主婦層に受けているのは、なんといってもイオン銀行です。
住宅ローン契約者の特典であるイオンセレクトクラブは、イオングループのスーパーやショッピングモール、オンラインショップで毎日5%オフで買い物ができるます。
日用品の買い物はイオンで済ませる人は重宝しますよね。
平日しか手続きができない銀行がある一方で、イオン銀行の窓口は、土日営業で買い物のついでにショッピングモールの中で立ち寄れる手軽さも評価が高いです。
新生銀行には、安心パックWというサービスがあります。
これは、家事代行会社のお掃除サービスや病児保育サービスのチケットが借入金額に応じてもらえるものです。
住宅ローンは借りたら、ただ返していくだけのものというイメージですが、日常に密着したサービスが受けられるのは嬉しいポイントです。
最近は、株式会社リロクラブが提供している「Club off」が利用できる銀行が複数あります。「Club off」は宿泊やレジャーなどが優待価格で利用できるものです。
例えば、北海道銀行、武蔵野銀行、横浜銀行などで住宅ローンを借りることで会員になれます。
三井住友信託銀行は「エグゼリーナ」という女性用の住宅ローンがあります。
これはメットライフ生命のローン返済支援特約付新医療保障保険に加入できるものです。
入院時に給付金がある他、メットライフ生命のメンタルヘルスサポートサービス、セカンドオピニオンサービスといったサービスを受けられます。
他にも出産後の1年間は金利を0.1%優遇してもらえたりします。
三井住友信託銀行は元々の金利も低めのため、魅力的です。
金利は上がるのか
近年の低金利は、ここまで下がるとは誰も思っていなかったでしょう。銀行間の低金利合戦は、融資担当の銀行員も困るほどです。
金利を0.01%でも低くするために、消費者も必死ですが、銀行にとっても住宅ローンの単体ですと、非常に薄利の商売になっているのが現状です。
大きく分けて、住宅ローンの金利は変動金利と10年固定金利が一般的です。
変動金利は日本の(短期プライムレート)政策金利に連動しており、簡単に言うと、現状の景気によって金利の変動があります。
実感として、不景気か好景気かという感覚があるときに変動金利は変わるということです。
そのような仕組みのため、現在のような景気具合では、まだまだ上昇があるのは先と思っても良さそうです。
一方、10年固定金利は10年物国債利回りに連動します。変動金利との違いは、将来の景気回復の兆しが見えて来たときに上がることです。
マイナス金利が発表されたときに、固定金利は一時的にかなり下がりました。
しかし実生活レベルでは、好景気を感じていた人は多くないでしょう。実態がまだ景気回復していなくても、10年固定金利は上昇する可能性があるということです。
こういった理由から10年固定金利は、変わる可能性が十分にあり、目が離せません。
近年の低金利時代であったり、最低金利という言葉が発表されると、まだまだ下がるかもしれないから待ってみよう、と思う人がいてもおかしくないでしょう。
ただ、数年前に比べて新築価格が上がっているため、待てば待つほどお得だったか?は疑問だと思います。
東京オリンピックまではしばらく価格の下落は起きないと、不動産業界では考えられています。
しかしながら、上昇があまりに急激だったため、このままのペースでの上昇は長くは続かないだろうとされています。
実際に東京をはじめ、全国的に新築マンションの在庫は増えており、明らかに売れ行きが悪くなっています。
一方で値打ち感のある中古マンションの売れ行きが伸びているのが話題です。
前回の消費税の8%への増税の際は、危惧されていた通り、駆け込み需要と増税後の落ち込みが起きました。
土地であったり、中古マンションの売主が個人のときは売買価格の消費税は非課税ですが、仲介会社に払う手数料や、引っ越し費用は消費税がかかるため、不動産の売買全体としては負担が増えます。
金利の動きも気になるところですが、税制の優遇の節目にもなる消費税の増税のタイミングが一つの山場と言えるでしょう。
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