カードローンの魅力は、簡単な申し込み手続きで手軽にお金を借りられる点にあります。
ただ、申し込み時には本人確認書類以外に収入証明書の提出を求められることもあるようですが、それはどんな時なのでしょうか?
収入証明書なしでお金を借りることはできないのでしょうか?
目次
本人確認書類さえあればカードローンでお金を借りることができる?
カードローンは、面倒な手続きなしでお金を借りることを目的にした金融商品で、担保や保証人も要らず、本人確認書類さえあれば申し込みできるようになっています。
申込時に本人確認書類が必要な理由としては、
- カードローン審査に申し込みをしたのが本人であることを確認するため
- 申込に際して申告した個人情報に間違いがないかを確認するため
などが挙げられます。
一昔前には、他人になりすましてお金を借りるなどといったことが度々起こったため、現在は運転免許証やパスポートなど顔写真付きの本人確認書類の提出を求められることが一般的です。
運転免許証など顔写真付きの本人確認書類を持っていない場合は、金融機関が指定する公的書類の中から複数を組み合わせて提出することで代用できます。
ただし、高額の場合は申込者に安定した収入があるかどうかも確認しないまま、大きな金額を融資すれば金融機関にとっても貸し倒れのリスクが高くなってしまいます。
きちんと返済をしていくだけの収入を申込者が得ていることを示す証明書の提出を金融機関が求めるのは当然のことだといえるでしょう。
収入証明書とはそもそも何?どうやって手に入れるの?
ではここで必要となる、収入証明書とはどういった書類のことを指すのでしょうか。
収入証明書とは、その字のまま利用者自身が収入をどれだけ得ているかを勤務先などの第三者から証明するもので、収入により返済能力があることを客観的に示すための書類です。
といっても収入証明書、という名前の書類が存在するわけではなく、一般的には以下の書類を用います。
サラリーマンであれば、年末の時期に勤務先から渡される「源泉徴収票」。
または、「住民税決定通知書」。
個人事業主であれば「確定申告書」や「納税証明書」。
これらが一般的な収入証明書として使える書類です。
源泉徴収票は勤務先が発行する書類なので、手元からなくしたのであれば勤務先へ要求すれば通常は再発行してもらえます。
住民税決定通知書は5月下旬ごろに同様に勤務先から交付される書類です。
この通知書を紛失した場合には再発行できませんので、役所に依頼して手に入る「課税証明書」が代用となります。
ほかにも数か月分の給与明細書で代用できるという業者もありますので、これらの書類の用意が難しければ、消費者金融の公式ホームページで申込事項を確認してみると良いでしょう。
収入証明不要っていくらまで?キャッシングに必要な書類について
キャッシングを利用する際は各業者によって必要書類、申込用紙は、おおまかにはあまり変わりありませんので、一般的な流れについて説明していきましょう。
利用したい商品への申し込みは、ホームページ上からであれば所定の申込ページに決められた項目を入力していきます。
書面での申込なら、同様に用紙に要求された内容を記入していきます。
必要とされる記入事項は、住所・氏名・電話番号・家族構成といった個人情報とともに、勤務先の情報・年収・勤続年収など、そして借入希望額などが必須となっています。
すべての項目を記入または入力したら、同時に業者から要求される必要書類を提出します。
書類は主に申込者本人であることを証明できる本人確認書類、たとえば運転免許証や健康保険証、パスポートといった書類とともに、返済能力があるかどうかを判断することのできる収入証明書の提出が必要になる場合もあります。
これらの書類を用意して、書類での提出であれば同時に郵送あるいは店舗へ提出し、ネットからの申込であれば書類のデータを取り込んでアップロードといった流れになります。
その後は業者側の審査に入り、提出した書類と個人信用情報機関の情報を用いて借入に問題のない条件を満たしているかどうかの判断が行われ、その後申込者に審査通過か否かの回答が入ります。
とても複雑な工程を踏んでいるように思えますが、大手消費者金融のプロミス、アコム、アイフルなどであれば、1時間以内で即日融資も受けられます。
消費者金融の場合~収入証明書不要な場合とは?総量規制と関係あるの?
では、収入証明書はどの程度の金額を借り入れる場合に必要になるのでしょうか?
消費者金融などに適用される貸金業法にはその辺りが明確に規定されており、
- 1社からの借入限度額が50万円を超える場合
- 他社借入額と新規借入額の合計が100万円を超える場合
のいずれかに該当する場合は収入証明書を提出しなければなません。
逆に、これに該当しなければ収入証明書は不要で、本人確認書類だけでカードローンの申し込みや契約手続きを行うことができます。
収入証明書として利用できる書類には、
- 源泉徴収票
- 給与明細書
- 課税証明書
- 確定申告書
などがあります。
消費者金融に総量規制が導入された経緯
現在の貸金業法が施行される以前の貸金業界では長い間、
- 過剰融資
- 高金利
- 過酷な取り立て
が社会的な問題点として指摘され続けてきました。
しかし、貸金業者に対する社会的な需要を押さえつけてしまうのは妥当ではないという見解から、貸付金額の基準や罰則規定の制定に関しては具体的に触れないまま問題は先送りされます。
結果として、ピーク時には多重債務者は230万人にも膨れ上がることとなり、多くの自己破産者や自殺者を生み出すこととなってしまいました。
このような経緯を受けて2006年に貸金業法は改正され、2010年に完全施行されるの
ですが、その改正貸金業法の一番大きなポイントが「総量規制の導入」でした。
総量規制の導入で何が変わったの?
総量規制の目的は貸付金額に上限を設けること。
とりあえず貸付金額を年収の3分の1までに制限し、それを守れない業者に対しては厳しい罰則規定を設けました。
そして、
- 金融機関が総量規制に違反して限度額を超える貸付をしないようにする
- カードローンの利用者が返済能力を超える金額を借り入れるのを防ぐ
これらを確実に守るために、1社からの借入限度額が50万円を超える場合、または他社借入額と新規借入額の合計が100万円を超える場合には収入証明書の提出を義務付けたのです。
総量規制が多重債務や自己破産の問題の根本的な解決法になっているかはともかくとして、改正貸金業法が施行されて以降、230万人まで増加していた多重債務者は10万人程度にまで減少していますので、それなりの効果はあったといえるでしょう。
銀行カードローンの過剰融資問題の影響と収入証明書提出について
消費者金融などの貸金業者では、総量規制の施行によって借入限度額に制限ができたため、一定以上の金額を借り入れる場合には収入証明を提出しなければなりません。
一方、銀行カードローンは総量規制の対象外であったため、収入証明書の提出は各金融機関の裁量に任されてきました。
消費者金融との差別化を図るために、ほとんどの銀行では消費者金融よりもずっと大きな借入限度額にならない限り、例えば300万円程度までであれば収入証明書の提出は不要とする銀行が大多数でした。
ところが、2017年に銀行カードローン業界が総量規制を自主的に導入したことで銀行カードローン商品は大きく変化します。
改正貸金業法の完全施行以降、消費者金融などの貸金業者が融資規模を縮小していくのとは対照的に、総量規制に縛られない銀行カードローンは順調に貸付残高を増加させていきました。
しかし、銀行カードローンの貸付残高の増加は、結局のところ貸金業者が縮小してきた貸付分がそのまま厳しい制限のない銀行カードローンに移行しただけのことであり、今度は銀行カードローン業界に新たな過剰融資問題が持ち上がるのではないかとずっと指摘されていたというのが本当のところです。
貸金業法の改正、総量規制の導入によって多重債務者や自己破産者がせっかく減少してきているのに、銀行カードローンの貸付残高が右肩上がりで増加していては貸金業法を改正した意味がないと指摘されてしまうのですね。
実際にそのような中、2016年には自己破産者数が13年ぶりに増加してしまったことで、当然のように銀行カードローンに対する批判の声は高まりました。
そして、ついに銀行カードローン業界は自主規制を導入することを決定します。
決定されたのは主に以下の3点です。
- 総量規制の自主的導入
- 収入証明書の提出基準を強化
- 広告規制
総量規制が自主的に導入されたことによって、銀行カードローンでも借入限度額が50万円を超える場合には収入証明書の提出を求められるようになりました。
カードローンで収入証明書不要でお金を借りるには…
ただし、銀行カードローンの審査基準が厳しくなり、収入証明書を提出しなければならなくなったとはいっても、それは借入限度額が50万円を超える場合についての話です。
カードローンの商品概要に記載されている最高限度額を見ると800万円、1,000万円など大きな金額が並んでいますが、実際のカードローン借入金額の平均は30万円~50万円だといわれていますので、カードローンを利用する人の多くは収入証明書を提出することもないでしょう。
確かに、まとまった金額を借り入れるときに収入証明書を提出しなければならないのは面倒だと感じるかもしれません。
しかし、収入証明書を提出することで金融機関は申込者の収入と借入金額のバランスをチェックできますし、申込者も無理な借り入れをしなくても済みます。
お互いにとって健全な融資を行うための手続きだと考えれば納得がいくのではないでしょうか?
変わりつつあるキャッシング事情と借りたいあなたの心構え
銀行がローン事業についてお咎めを受けたよりも何年も前、今回同様に債務超過者の増加が問題となった結果、貸金業法が改められました。
これにより債務超過者を生み出していた原因のひとつである「グレーゾーン金利」が撤廃されるなどして、消費者金融業界においてクリーンアップが図られました。
今回の銀行カードローン事業の是正勧告も同様に、借金に困る人を減らすための行政側の対応策です。
利益を優先した銀行に問題がないわけではありませんが、利用者側も本来は自身が申し込み時点できちんと返済できるかを判断しておかなくてはいけないところを、銀行が許すのだから良いだろうと甘えていた部分があったのではないでしょうか。
キャッシングはお金を借りて終わりではなく、完済し終えてやっと契約完了となるものです。
その約束を違えないように、借りるときに自分がちゃんと返済できるかを考慮した上で申し込みをしなくてはいけません。
そしてお金が必要となったときには、キャッシング以外に方法はないのかを検討し、借入れする場合も必要最低限の借入にとどめて、将来の返済にかかる負担を減らすように考えることが大事です。
借入残高は、将来の自分への負債です。
そのことを忘れずに、しっかりとした返済計画のもとでキャッシングの利用を考えていきましょう。