在籍確認とは、住宅ローンの申し込みやクレジットカードを新たに発行するときに、金融機関がおこなう融資審査の1つです。
金融機関から、融資希望者の勤務先に電話をかけて、申込者の本人確認をおこないます。
気になる在籍確認の流れや注意点、先に知っておいたほうが良いことなどのポイントを解説していきます。
目次
住宅ローン会社が在籍確認をする目的
金融機関(住宅ローン会社)が、契約者の在籍確認をする理由は、融資希望者に安定した収入があり、返済能力が備わった人物なのかを確認するためです。
また、申込情報や提出書類に嘘の情報がないか、なりすまし防止のための本人確認も兼ねています。
住宅ローンの申し込みをするときは、住所や氏名、年齢、勤務先や収入等を申込書類に記入して提出します。
住宅ローン会社は、申し込み情報が正しいかどうかを、住所や氏名、年齢等は、免許証やパスポートなどの公的証明書で、勤務先や収入(年収)は、源泉徴収票や住民税決定通知書、課税証明書、確定申告書などの書類で確認します。
公的証明書で確認できる住所氏名等とは違い、勤務先や収入は、年に1回程度しか発行されない書類で確認をするしかありません。
年に1回発行の書類だけだと、ローンの契約時点で勤務先に在籍しているのかまでは、確証を得ることができないため、住宅ローン審査において、在籍確認は重要な審査内容の1つです。
ほとんどの金融機関が電話での在籍確認をおこないますが、電話で申込者の取次が中々できない場合は、金融機関の担当者が自ら、申込者の勤務先に訪問するときもあります。
ただし、例外もあって、お給料の振込口座として登録している銀行で住宅ローンの契約をすると、申込者の口座を見れば、毎月お給料が振込まれていると事実確認ができるので、電話での在籍確認をしないケースもあります。
ろうきん含む4社の在籍確認タイミングと具体的な確認内容
住宅ローン会社が在籍確認をするタイミングは、金融機関によって、どのタイミングで連絡するかが異なりますが、本審査のときにおこなう企業が一般的には多いようです。
大手金融機関の在籍確認の連絡が来るタイミングを簡単にまとめましたので、該当の企業へ申し込みを予定している人はチェックしておいてください。
大手金融機関の在籍確認の連絡が来るタイミング
みずほ銀行 | 本審査時(自宅と勤務先に電話が来る) |
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りそな | 仮審査時(自宅と勤務先に電話が来る) |
三井住友銀行 | 本審査時(勤務先に電話が来る) |
ろうきん | 本審査時(勤務先+勤務先が所属している労働組合に電話が来る) |
○補足
・みずほ銀行:みずほ銀行の規則により、在籍確認の連絡時は勤務先の「代表電話」にかける決まりで、代表電話で融資希望者への取次ができなければ、所属部署の直通電話にかけてくれる。
・ろうきん:ろうきんでローンを組むには、勤務先の企業が労働組合に加盟している必要があるため、勤務先への連絡と、管轄の労働組合への在籍確認がおこなわれる。
在籍確認時に聞かれる具体的な内容
電話で確認する内容は、企業ごとに異なるようですが、一般的には、下記のような簡単なものです。
- 申込者本人の生年月日
- 新住居から会社までの通勤時間(およそでOK)
- 住宅ローンを組む対象物件に居住する時期(およそでOK)
上記のような本人確認後、融資を申し込んだかなどの簡単な聞き取りをしてすぐに電話が切れます。
電話のときはなんて名乗ってくる?
住宅ローン会社が在籍確認の電話をする際、大手の金融機関は会社名と担当者名を名乗ってきてくれます。
というのも、担当者の個人名だけ名乗って勤務先に電話をして取り次いでもらおうとすると、最近は個人情報保護法の観点から、本人不在の場合は在籍確認に応じてくれない、そもそも就業中に私用電話は禁止といった会社が多いようです。
そのため、名の通った金融機関名と担当者名を名乗り、在籍確認をおこなう金融機関が増えました。
在籍確認の電話は何回かかってくる?
住宅ローン会社から、勤務先宛にかかってくる電話の回数は、基本的には1回です。
例外として、在籍確認の連絡が来たタイミングで勤務先に申込者本人が不在で、その後、申込者から折り返し連絡をした場合、もう一度、在籍確認の連絡が来る可能性があります。
借入先にとって、折返し連絡をもらったとしても、掛け直してくれた人が申し込み者本人なのかどうか、電話口では判断ができません。
なりすまし防止のためにも、住宅ローン会社が電話をかけて、第三者から取り次いでもらうことに意味があるため、2回以上の在籍確認をおこなう場合もあるのです。
在籍確認の電話までに備えておくこと
申込者が在籍確認の電話までに、準備できる内容はこの3つになります。
- 電話を受ける時間帯の確認
- 勤務先に住宅ローンの融資の件を知られたくない場合の事前相談
- 在籍確認後の審査終了時期の確認
1.電話を受ける時間帯の確認
在籍確認の電話はいつかけてくるのか、明確な日時の指定はできない場合がほとんど。
しかし、それだと、営業職など外回りが多かったり、地方への出張が頻繁な職業で会社に不在がちな人にとっては、在籍確認の電話に出られない可能性が高いので不安ですよね。
社内にいる時間の方が少ない場合は、住宅ローン会社の担当にその旨を相談してみてください。
また、社内で勤務していても会議で電話を受けられない時間もあるとおもいます。
管理職の方は特に、こういった時間が多いので、事前に席を外す時間が多いと、金融機関の担当に相談をしておく、または在籍確認の電話の時間帯を絞れないか、交渉をしてみるといいでしょう。
本人に取次がなかった場合も、客観的な視点を持って、契約者本人が申請時の会社に勤務していると判断できれば、そのまま審査の内定が出る場合もありますが、金融機関や担当によって変わるので、事前に相談をするのが確実です。
2.勤務先に住宅ローンの融資の件を知られたくない場合の事前相談
住宅ローンの在籍確認は、金融機関名を名乗った上で要件を伝えるケースが多いです。
勤務先に住宅ローンの融資の件を知られたくない場合は、あらかじめ金融機関名を名乗らないでほしい旨を伝えておくとよいでしょう。
3.在籍確認後の審査終了時期の確認
無事に在籍確認の電話も受けることができ、あとは結果を待つのみ。
だったはずなのに、待てど暮らせど住宅ローン会社から、審査結果の連絡が来ない。
住宅ローン契約を申し込まれた方の中には、このように在籍確認が終わっても審査結果がどうなったのか、心配になった人も少なくないようです。
一般的に、審査期間は全体で2~3週間ほどと言われていますが、金融機関によって所要日数は異なるため、申込み時点で担当に確認しておくと安心です。
その際、スムーズに審査が進んだ場合の所要日数、何らかの確認に時間が掛かってしまった場合の所要日数など、状況別に聞いておくと尚良いでしょう。
電話に出られなかったら審査に落ちちゃうの?
住宅ローン会社の在籍確認の電話に出られなかったら審査に落ちてしまうのでは?と心配に思われる方も多いのではないでしょうか。
先ほど申し上げたように、借入先からの電話は、いつかかってくるのか具体的な日時は分からないことが多いため、申込者本人に繋がらないケースもあります。
しかし、第三者が席を外している、営業のため外出中などの説明をすることで、改めて電話をしてくれたり、第三者から本人がいる状況を聞くことができた段階で、客観的に見て、申請時の会社に勤めていると判断できるので、後日連絡はせずに、在籍確認が終了することも少なくありません。
電話に出られない場合の対処法も事前に聞いておくと、心構えもできるので安心して審査期間を過ごすことができるので、申込時に相談をしておくとベストです。
会社に金融機関から電話がかかってくること自体に抵抗がある
人間関係があまり良くない、プライベートのことは職場の人に知られたくない、などの事情で、住宅ローンについてなるべく隠したいといった人も中にはいると思います。
できれば在籍確認の電話をしないで審査をしてもらえないかと考える人もいるかもしれませんが、在籍確認は住宅ローン審査の重要な項目の1つ。
そのため、職場への連絡は避けられないと思っておいたほうが良いです。
どうしても隠したい人は、住宅ローン会社に事情を説明して、在籍確認の電話の際は、個人名だけを名乗ってもらい、職場の人に知られないように配慮してもらえないか相談をしてみましょう。
<注意>住宅ローン契約のタイミングで転職予定がある人
在籍確認を含めて、住宅ローン契約の審査のタイミングで仕事の転職を予定している人は、注意が必要です。
転職することが確定しているのにも関わらず、審査時に提出する各書類は退職予定の職場の情報で提出することは、ある意味、詐欺行為を働いているのと一緒です。
融資開始後、確信的におこなった行為と発覚した場合は、契約解除、及び一括返済を求められる危険もあります。
ですので、転職が決まっているのであれば、住宅ローンの契約は保留にしたほうが懸命でしょう。
では、転職をした直後に住宅ローンの契約をすればいいかと言えば、これもあまりおすすめはできないです。
転職をした直後ということは、住宅ローン契約時に提出する就業先の情報には勤務実績がなく、返済能力があるのか信用性に欠けます。そのため、借入先も審査の内定を出しづらいのです。
転職をした直後も、住宅ローン契約は一旦置いておき、まずは仕事に従事して、勤務実績を積み上げていきましょう。
なお、融資開始後に転職をした場合も、本来は借入先に伝えるのがベストですが、あなたが転職した事実は、ご自身で連絡をしない限りは借入先に知られることはありません。
転職したことを伝えたとしても、融資開始後の転職なので、再審査を求められることも無いと考えられますが、勤務実績がないのに変わりはないので、まずはとにかく返済が滞らないように気をつけてください。
<補足>自営業者の場合はフラット35がおすすめ
住宅ローンの審査の中でも、在籍確認は本人の支払い能力を調べるために重要な項目となっています。
会社への電話以外にも、保険証のコピーや源泉徴収票の提出などを求められることがありますので、事前に必要書類を聞いておくとよいでしょう。
会社に勤務している場合にはいろいろな証明方法がありますが、自営業者の場合にはまた異なる方法になります。
自営業者は、国民健康保険ですので保険証に事業所の記載がされていません。
また、給与所得ではなく事業所得ですので源泉徴収票の提出をすることができず、代わりに在籍確認の電話を複数回行うことがあります。
在籍確認をして、本申し込み時に事業を継続しているかどうか、再度電話をかけてくるというものです。
自営業は比較的簡単に事業所の開業閉業ができるので、こまめに確認されることが多いです。
また、提出書類として、確定申告書を出すことになっています。
本人の収入を知るというだけでなく、事業所名の確認のためにも使われています。
開業してそれほど間がない場合には、複数年度分の確定申告書や、事業計画書などの提出を求められることがあります。
審査条件としては、自営業者はやや分が悪いといわざるを得ないでしょう。
自営業で仕事をされている方は、フラット35が何かと借りやすい傾向にあるようなので、こちらのページも参考にしてみてください。
逆に、公務員のように身元がしっかり保証されている場合は、在籍確認の電話がかからないこともあります。
金利に関しても、安定性の高いところに勤務している人の場合には、優遇金利で借り入れができる金融機関が多いです。