交渉でのNGワード
住宅ローンの金利引き下げ交渉にあたって、まず言ってはいけないNGワードがあります。
それは「生活が苦しい」「経済状況がひっ迫している」など、支払能力自体を疑いたくなるような言葉です。
銀行は、借り手の支払い能力を信用力としていますので、「住宅ローンは、今後払っていけそうもない」というような言葉は、信用力を落とすことにつながります。
また、言葉であらわさなくても実績として信用度が低い人は交渉に応じてもらえません。
具体的には、今までのローンの返済に遅滞があったり、他の銀行やクレジットカード会社で遅滞があった場合です。
一度だけうっかりという程度なら見逃してもらえるかもしれませんが、複数回引き落としができなかったというようなケースは問題でしょう。
これは、住宅ローンの借り換えにおいても同じことが言えます。
金利引き下げに銀行が応じようとする場合、具体的な手続きが行われます。
住宅の登記簿など物件に関する書類の再提出は必要ありませんが、健康保険証や収入証明書の提出は求められるでしょう。
勤務先に変更がないか、収入額に変化がないかなどを客観的にチェックするためです。
また他社での実績も含めた信用調査が行われますが、この際に、銀行を不安にさせるような要素がある場合には審査通過は困難となります。
ひっ迫した経済状況を理由にした金利引き下げ交渉は、単に応じてもらえないだけでなく、自分の信用度を落とすことにも繋がりかねません。
交渉にのぞむには金融機関に対する信用度があることが前提となるので注意が必要です。
金利引き下げには借り換えの覚悟が必要
金利引き下げは、銀行にとって積極的に行いたいことではありません。
そのため、客観的で積極的な動機付けが必要となります。
まずは、借り換えについて具体的に調べていくことが必要です。
まずは金利です。金利には二つあって基準金利(店頭金利)と適用金利があります。
基準金利は信用度が低い場合などに設定される高めの金利ですが、多くの場合適用金利の範囲で設定され、金利比較の際には適用金利で検討します。
次に、団体信用生命保険を比較していきましょう。
銀行で住宅ローンを組む場合は、通常死亡保障と重度障害保障はついています。
しかし近年は、それ以上に三大疾病やがんに対する特約をつけることができる場合もあります。
またその保険料は、銀行によって金利上乗せになるものから無料で特約がつくものまで幅が広いのも現状です。
最後に借り換え手数料ですが、現在のローン契約銀行に対する繰り上げ返済手数料、借り換え先の銀行に払う手数料、法務局への登記費用、役所の書類用収入印紙などです。
銀行手数料の部分は各行計算の仕方から違いますので、金利だけでなく手数料の部分も計算しなければなりません。
住宅ローンの金額が大きければ、その分手数料も高くなる傾向にあります。
「借り換え手数料0円」とうたっている銀行であっても、結局はローン残高に加算されるというケースもあるので、慎重に総額で計算していきましょう。
そのうえで、本当に借りかえた方が現在の契約よりも総合的に得であるか検討します。
借り換えが具体的に有利であれば、借り換えの事前審査を行います。事前審査に通れば、具体的に借り換えの目途もつくでしょう。
金利引き下げ交渉で注意したいこと
金利引き下げ交渉を行うのは、借り換えについて十分に検討し、実際に借り換えをする覚悟で行うことが必要です。
実際には何も借り換えについて調べていないのに、架空の銀行の適当な金利を述べたり、あるいは審査を受けていないのに受けているかのようにふるまうことは避けます。
わかりやすいウソはすぐにばれて印象を悪くしますし、交渉が失敗に終わった場合に、他行での借り換えもできなかったというようなこともあり得ます。
そこで対策としては事前審査を通過してから行うことが重要です。
この場合、具体的に他行での事前審査の結果が出ているので、具体的に借りかえの場合の金利と現在の金利を比較した交渉ができるからです。
また、借り換えが現実的なものであることを担当者にも理解してもらえます。
そのうえで、現在の契約で金利引き下げが可能であれば、契約の継続も検討したいという希望を伝えるのがよいでしょう。
現在の契約がある程度高い金利であれば、交渉に応じてもらえるかもしれません。
しかし、1パーセント前後などもともと低めの金利設定であれば、それ以上に下げてもらうのは難しいことが予想されます。
交渉で大切なことは、あくまでも友好的にお願いする姿勢です。そのほうが交渉がうまくいく可能性が高まります。
また仮に交渉がうまくいかず、金利を引き下げてもらえない場合も、相手を不愉快にすることなく、事前審査を通過している借り換えの方向で動けばよいのです。
住宅ローンに限らず、金融機関とはいろいろな場面でつきあうことになる関係です。
あくまで金利引き下げはお願いする立場であることを念頭に、交渉していくようにしましょう。