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編集部コラム

介護休業給付とは?支給対象になるための条件と申請手続きの方法

家族が病気やケガになり、その介護のためにどうしても仕事を休まざるを得ない場合もあると思います。

入院や治療にもお金がかかりますし、「介護のためでも仕事を休むと収入が減ってしまう…」と不安を感じている人もいるのではないでしょうか?

実は、要介護状態にある家族の介護のために休業した場合、一定の条件を満たしていると介護休業給付が支給されます。

介護休業給付は雇用保険の制度の1つなので、会社で働いている給与所得者なら正社員だけでなく、パート・アルバイト、契約社員なども対象になるのですが、介護休業給付を貰うための条件が少し異なるので注意が必要です。

この記事では、介護休業給付とはどのような制度なのかについてまとめました。

支給対象者になる条件や申請の方法、支給される金額などについて説明していくので、ぜひ手続きの参考にしてください。

自営業やフリーランスと呼ばれる働き方をしている人はそもそも雇用保険に加入していないため介護休業給付の支給対象にはなりません。

介護休業給付とは?

前述の通り介護休業給付とは家族の介護のために仕事を休んだ場合の給付金です。

支給は同じ家族1人につき最大93日、3回までなので、一度給付を受けた後にまた休むケースでも93日に達していなければ3回までは申請できます。

しかし、すでに93日分の給付を受けている場合には、たとえ要介護状態に変化があっても再度の支給はありません。

また、介護休業給付は取得した介護休業に対して申請を行うものです。

介護のために仕事を休む前や、介護休業中の給付ではないので覚えておきましょう。

加えて、実際に介護休業給付が支給されるためには、様々な条件があります。

雇用保険は事業者や労働者の支払う保険料が財源なので、給付の対象になるかはしっかりとチェックされるのです。

次章ではどのような場合に介護休業給付を受けられるのかについて説明していきます。

介護休業給付が支給されるための条件

介護休業給付の対象になるかは次の2点で考えていきます。

  1. 制度の対象になる介護休業か
  2. 被保険者が介護休業給付の要件を満たすか

介護のために仕事を休んだなら、そのすべてが介護休業給付の対象になるわけではありません。

この制度では、給付の対象になる介護休業が決められているのです。

また、①の条件をクリアしていても、雇用保険の被保険者が介護休業給付の要件を満たしていないというケースもあり注意が必要です。

例えば、雇用保険の被保険者期間が短いと介護休業給付を貰うことはできません。

それでは、介護休業給付が支給される条件について詳しく見ていきましょう。

介護休業給付の対象になる介護の条件とは?

介護休業の対象になるのは、次のような介護休業である場合です。

  1. ケガ・病気、または身体上、もしくは精神上の障害で、2週間以上の常時介護が必要な家族の介護のための休業であること
  2. 被保険者が介護のために休業する期間の初日、末日を明らかにした上で事業主に対して申し出を行い、実際に被保険者が取得した休業であること

勘違いしやすいですが、「2週間以上の常時介護が必要」という条件なので、介護休業の期間は2週間未満でも申請可能です。

例えば、はじめの1週間は自身が介護をするために仕事を休み、その後は病院へ入院するというケースでは、仕事を休む期間分のみの介護休業給付を申請できます。

また、この制度における家族とは、次のような家族を指します。(いずれも被保険者から見た関係です。)

介護休業給付における家族の範囲
  • 配偶者(内縁関係を含む)
  • 父母(養父母を含む)
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母(養父母を含む)
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

知っておきたいのは、自身の配偶者や子どもだけでなく、内縁関係のパートナーや養子・養父母なども含まれるということです。

このことを知らないと介護休業給付の条件を満たしていても、手続きできる期間を過ぎてしまうかもしれません。

介護休業を開始できないケース

ただし、介護休業を開始できないケースもあるので注意が必要です。

雇用保険の被保険者が、産前産後休業中であるときは介護休業を開始することができないので覚えておきましょう。

介護休業を終了する必要があるケース

また、介護休業が途中で終了するケースもあります。

すでに申し出ている介護休業の期間中に、「別の家族を対象とする介護休業」「産前・産後休業」「育児休業」を開始した場合には注意してください。

それらの休業を開始する前日までで、先に取得していた介護休業は終了となるのです。

介護休業給付が支給される要件

介護休業給付が支給される要件についても確認していきましょう。

介護休業の開始日前2年間の雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上であること

先ほどもいいましたが、介護休業給付は雇用保険の制度なので、雇用保険に加入していないと利用することはできません。

また、被保険者期間が介護休業を開始する直近2年で12ヶ月以上ないと対象にはならないのです。

雇用保険の被保険者期間の数え方

雇用保険における被保険者期間は「1ヶ月のうち賃金の支払い対象になった日数が11日以上ある月を1ヶ月」とカウントしていきます。

そのため、1ヶ月あたりの出勤日数が少ない場合には、勤務している期間より雇用保険の被保険者期間が短いケースもあるので注意してください。

正規雇用、フルタイムで働いている方は1年以上働いているなら条件を満たしている可能性が高いと思って大丈夫です。

被保険者本人が病気などの場合には、被保険者期間が12ヶ月に満たなくても、受給要件が緩和され受給できるケースもあります。

パート・アルバイト、契約社員の場合の支給要件

雇用保険はパート・アルバイト、契約社員といった非正規雇用の方も加入できます。

ただし、上記のような契約期間に定めのある労働者(有期雇用労働者・期間雇用者)の場合には、次のような条件もあります。

有期雇用労働者の場合
  1. 同じ事業主の下で1年以上雇用が継続されていること
  2. 介護休業開始予定日を起算日として、93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでないこと

1つ目の要件は「同じ事業主の下で1年以上雇用が継続されていること」です。

被保険者期間の要件を満たしていても、今の職場で雇用されている期間が1年未満だと介護休業給付の対象になりません。

加えて、介護休業給付は最大3ヶ月(93日)の支給ですが、その期間が終了してから6ヶ月以内の契約終了が決まっている場合も条件を満たさないのです。

契約期間の定めがない無期雇用労働者に比べて、介護休業給付を受けるための条件が増えるので注意してください。

介護休業給付の支給金額

次に介護休業給付の支給金額を見ていきましょう。

介護休業給付は賃金日額の67%とされています。

介護休業給付の支給金額=休業開始時賃金日額*67%*支給日数

休業開始時賃金日額は、原則、介護休業を開始する前6ヶ月の賃金を180日で割った金額です。

例えば、1ヶ月の賃金が30万円なら、「30万円*6ヶ月/180日 =10,000円」となります。

そして、介護休業給付で支給される1日あたりの金額はその67%なので、6,700円ということです。

介護のために休業している期間中に賃金の支払いがいっさいなかった場合には、過去6ヶ月に支払われた賃金の総支給額によりおおむね次のような支給額になるので参考にしてください。

介護休業給付の支給金額の目安
月額平均15万円程度月額10万円程度
月額平均20万円程度月額13.4万円程度
月額平均30万円程度月額20.1万円程度

介護休業給付の支給金額が減額されるケース

介護休業の期間中に事業主から賃金が支払われている場合、その金額によっては介護休業給付の支給額が減額される、もしくは支給されないこともあります。

介護休業給付の支給単位は1ヶ月ごとなのですが、もしその期間中に賃金日額の80%×支給日数の賃金が支払われていたなら介護休業給付は支給されません。

支払われた賃金介護休業給付の支給額への影響
13%以下影響なし(全額支給)
13%超〜80%未満差額のみを給付
80%以上介護休業給付の支給なし

支払われた賃金が13%以下だと、本来の金額(賃金日額*67%)が支給されますが、それを超えると減額されたり、支給対象外になったりするのです。

賃金の支払いがない場合には気にしなくて大丈夫ですが、勤めている会社によっては独自のサポートがあることもあります。

それが賃金という扱いだと、支給金額へ影響する可能性があることを覚えておきましょう。

賃金月額と支給金額の上限

支給金額の計算で使用する賃金月額には上限があり、それによって支給金額にも上限が決まっています。

休業開始時賃金月額の上限は500,100円で、支給される金額の上限はその67%である335,067円です。(令和元年8月1日現在)

また、賃金月額には75,000円という下限も決まっています。(令和元年8月1日現在)

介護休業給付を申請する方法

介護休業給付の申請はハローワークに対して行いますが、通常は勤務先(事業主)を通して手続きするので、本人が直接手続きする必要はありません。

会社を通して事業所を管轄するハローワークへ必要な書類を提出すれば、支給開始決定から1週間ほどで指定の銀行口座へ振り込まれます。

また、具体的な支給日については「介護休業給付支給決定通知書」で確認可能です。

もしなかなか支給されないなら、会社に通知書が届いていないか、手続き済みかを確認しましょう。

手続きが済んでいるにも関わらず支給が開始されない場合には、要件を満たしているか審査中の可能性が高いです。

手続きの進捗状況を確認したい人は、管轄のハローワークに来所して確認してください。

介護休業給付の申請に必要な書類

介護休業給付の申請には「受給資格を確認するのに必要な書類」「介護休業給付の支給申請に必要な書類」が必要です。

会社経由で書類を提出するので担当者がいるのであれば、その指示に従って書類の記入を進めていくと良いでしょう。

受給資格を確認するのに必要な書類

受給資格を確認するために必要な書類は次の2つです。

受給資格を確認するのに必要な書類
  1. 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  2. 賃金台帳、出勤簿またはタイムカード

②については①に記載されている賃金の額、その支払い状況を証明するための書類となります。

そのため、賃金台帳と出勤簿、もしくはタイムカードなどを利用できます。

受給資格を確認するための手続きは、介護休業開始の翌日を起算日として10日以内に行わないといけませんが、事業主が支給申請書を提出する場合には、それと同時に上記の書類を提出することも可能です。

介護休業給付の支給申請に必要な書類

介護休業給付の支給申請では、次の書類が必要になります。

介護休業給付の支給申請に必要な書類
  1. 介護休業給付金支給申請書
  2. 介護休業申出書(被保険者が事業主に対して提出したもの)
  3. 住民票記載事項証明書等(介護休業での介護の対象となる家族の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類)
  4. 出勤簿、タイムカード等(介護休業の開始、および終了日、介護休業期間中の休業日数を確認できる書類)
  5. 賃金台帳(申請書に記載されている賃金の額、その支払い状況、休業日数、就労日数を確認できる書類)

賃金台帳や出勤簿などは勤め先が用意しますが、介護をする家族の住民票記載事項証明書なども必要です。

書類や手続き方法などについては、個別の事情や管轄のハローワークによって若干異なるケースもあるので、詳しくはハローワークで確認すると確実でしょう。

介護休業給付の申請期限

介護休業給付はすでに休業した日に対して支払われるものですが、申請期限が決まっているので注意してください。

支給申請は介護休業の終了日の翌日を起算日として、2ヶ月が経過する日が属する月の末日までに行わないといけません。

例えば、5月20日に介護休業を終えたとすると、同年7月31日までの申請が必要なのです。

また、介護休業給付は最大3ヶ月(93日)までの支給ですが、介護休業の期間が3ヶ月を超えるケースもありますよね。

その場合には、介護休業を終了した日ではなく、介護休業の開始から3ヶ月が経過した日の翌日が起算日となるので注意してください。

【まとめ】家族の介護のために仕事を休むときは介護休業給付を利用しよう!支給条件と申請期限に要注意

雇用保険の介護休業給付は、要介護状態の家族を介護するために仕事を休まざるを得ない方のための制度です。

一定の条件はありますが、介護のために仕事を休んだ期間を対象に賃金日額の67%を支給してもらえます。

正規雇用の方だけでなく、パート・アルバイト、派遣社員の方も利用可能な制度なので、介護のために休業したときは支給条件を満たしているのかを確認しましょう。

また、申請手続きには期限があるので、必ず決められた日までに必要な書類をハローワークに提出しなくてはいけません。

書類の提出は会社経由で行うのが原則ですが、しっかりと手続きが進んでいるかは自身でも確認するようにしてください。

特に比較的小さな会社の場合には、企業内に介護休業などに関することの担当者がいないケースも多いと思います。

会社自体が手続きに慣れていないということも考えられるので、心配な人は手続きの進捗状況を担当者やハローワークに確認しておくと安心です。

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