「Yahoo!スコア」が8月末でサービスの提供を終了するとYahoo!ジャパンの公式ホームページで発表がありました。
「Yahoo!スコアって何?」という方もいると思うので簡単に説明しますね。
Yahoo!スコアは信用度を数値化(スコアリング)し、そのスコアに応じて提携企業のサービスで割引などの優待を受けられるというものです。
スコアリングのもとになるデータはYahoo!JAPAN IDにひもづくサービスの情報で、スコアは随時機械的に算出するとされています。
このような個人の信用度をスコアリングするサービスはYahoo!スコア以外にも、J.Score(ジェイスコア)、LINE Score、ドコモスコアリングなどいくつかあり、かくいう私もJ.Score(ジェイスコア)はちょっとだけ使った経験があります。
どちらかというと、J.Score(ジェイスコア)やLINE Scoreは信用スコアを融資の審査に利用するという側面が強いのですが、基本的な仕組みはだいたい一緒だと思って良いでしょう。
このような信用スコアのサービスが増えてきたのはここ数年のことで、Yahoo!スコアに関してはサービスの開始が2019年です。
なぜこんなにも早くサービスが終了することになったのでしょうか?
私は色々と調べてみてはじめて知ったのですが、実は、Yahoo!スコアは過去に個人情報の取り扱いに関して炎上騒ぎがあったようで、今回の早期サービス終了にはそのことも影響していたようです。
ユーザーの信用度を数値化するサービスのはずが、そのユーザーからの信用を得られなかったというのは皮肉な話ですね。
今回は、Yahoo!スコアの誕生→炎上→終了の流れを振り返りながら、炎上してしまった理由、サービス終了の背景についてまとめていきたいと思います。
また、今回の件を通して日本での信用スコアサービスの在り方についても私見を述べていきます。
目次
Yahoo!スコアの誕生からサービス終了までの経緯
最初にYahoo!スコアのサービス誕生から終了するまでの流れを振り返っていきましょう。
- 信用スコアサービスの提供を発表(2019年6月3日)
- 個人情報の取り扱いに関する疑問、指摘が相次ぐ
- Yahoo!スコアのサービスを開始(2019年7月1日)
- プライバシーに関する仕様変更のお知らせ(2019年9月9日)
- Yahoo!スコアのサービス終了を発表(2020年6月29日)
- サービス終了予定(2020年8月31日)
信用スコアサービスの提供を発表
Yahoo!JAPANが信用スコアサービスの提供に関する発表を行ったのは2019年6月のことでした。
日本における信用スコアサービスの先駆けともいえるJ.Score(ジェイスコア)は2016年設立、2017年サービス開始なので、そこから2年ほど遅れる形となります。
ただ、他のLINE Score、ドコモスコアリングとはほぼ同時期のサービス開始だったのですが、実際にサービスの提供が開始されるまでに個人情報の取り扱いに関して疑問、指摘が相次ぎ、ネットでの炎上騒ぎになったのです。
個人情報の取り扱いをめぐり炎上
Yahoo!スコアに関する当初の説明では分かりにくいことも多く、個人情報が勝手に信用スコアに利用され、外部に提供されるのではという不安が発表を見たユーザーの間で広がり、ソーシャルメディア上での炎上騒ぎに繋がりました。
Yahoo!JAPANは事態を重く受け止め、サービス開始前の6月21日にプレスリリース内で謝罪、釈明することになったのです。
また、Yahoo!スコアにおける個人情報、プライバシーの取り扱いについて説明する特設ページも開設されました。
Yahoo!スコアのサービスを開始
サービスを開始する前にSNS上で一悶着あったわけですが、予定通りYahoo!スコアのサービス提供が始まりました。
ただ、個人情報の取り扱いについては、外部の有識者からの指摘もあり、サービスの仕様が変更されることになります。
有識者などの意見を参考に仕様を変更
ヤフーの発表によると、8月に有識者による「プライバシーに関する有識者会議」(アドバイザリーボード)を設置し、プライバシーに関する施策、利用の透明性確保について検討を行ってきたそうです。
第1回の会議においては、プライバシーポリシーの改定、Yahoo!スコアの今後の対応が議題になりました。
そのような会議の結果をふまえ、10月にプライバシーポリシーの改定が行われ、Yahoo!スコアの仕様変更も実施されたのです。
詳しくは次章で説明しますが、この仕様変更によって、初期設定ではスコアが作成されないように変わっています。
Yahoo!スコアのサービス終了を発表
プライバシーポリシーの改定、スコア作成の仕様変更からおよそ9ヶ月後の2020年6月29日、Yahoo!スコアのサービス終了が発表されました。
ヤフーは、ユーザー、パートナー企業にとって満足できるサービスの提供が困難であるとその理由を説明しています。
2019年6月にビジネスソリューションサービスの提供開始を発表した「Yahoo!スコア」は、2020年8月31日をもって終了いたします。
(中略)
「Yahoo!スコア」のあり方について抜本的な見直しを検討してまいりました。また並行して、お客様ご自身のスコアや受けられる特典等をご確認いただける機能および各種特典等の検討・準備を進めてまいりました。
しかしながら、現在の状況を総合的に勘案した結果、お客様・パートナー企業にご満足いただける「Yahoo!スコア」サービスの提供に至らないと判断し、このたび「Yahoo!スコア」の終了を決定しました。
Yahoo!JAPAN 「Yahoo!スコア」終了のお知らせより一部抜粋
すでにスコアを作成している方も、8月31日までにそのスコアが削除されることになります。
Yahoo!スコアパートナー企業へ提供した信用スコアも削除される
Yahoo!スコアでは自身のスコアを作成した後、パートナー企業へのスコア提供を任意で選択できます。
スコア提供に同意している場合も、パートナー企業へのスコア提供は順次停止され、パートナー企業のサーバーからスコアのデータは完全に削除されるとのことです。
軌道に乗る前のサービス終了であるため、パートナー企業は限定的ですが、次の4社がYahoo!スコアを利用するパートナー企業になっていました。
- ランサーズ
- OpenStreet(HELLO CYCLING)
- TableCHECK
- クラウドワークス
また、スコアの算出に必要な質問の回答を終えていない状態のユーザーについては、回答後、速やかに削除されることになります。(最長で2020年10月31日まで)
過去にYahoo!スコアが炎上した理由
過去にYahoo!スコアが炎上したのには、主に次の2つの理由があります。
- オプトアウト方式でのスコア作成
- 同意なしでスコアが外部提供されるという誤解
①オプトアウト方式でのスコア作成
オプトアウト(opt-out)の意味を辞書で調べると、「手を引く」、「脱退する・退会する」などが出てきますが、企業などが個人情報を利用できるという前提で、その利用をユーザーが後から制限できる方式をオプトアウト方式といいます。
サービス開始当初のYahoo!スコアは、事前に個人情報の取り扱いについて説明した上で、初期設定だと自動的にスコアが作成されていました。
ユーザーはその設定を自分でオフにしないと個人情報が利用される方式だったのです。
有識者からは「ユーザーがYahoo!スコアに関する事前の説明を見落とす可能性」も指摘されましたが、確かにそのようなケースもありそうですよね。
このオプトアウト方式について外部の有識者、発表を見たユーザーからの批判が相次ぎ、最終的には初期設定ではスコアが作成されない仕様に変更されることとなりました。
②同意なしでスコアが外部提供されるという誤解
炎上のもう1つの理由が、発表を見たユーザーに「同意なしで自身のスコアが外部提供される」と勘違いされたことです。
実際には、スコアは自動的に作成されるものの、そのデータをパートナー企業に提供するかどうかは任意で選択できるという仕様だったのですが、その点についての説明が十分になされていませんでした。
説明が不十分であったことはヤフーも謝罪しましたが、その誤解がSNS上で広がったため、Yahoo!スコアへの批判が増えたのです。
Yahoo!スコアがサービス終了に踏み切った理由を推測
ヤフーのニュースリリースでは、「ユーザー、パートナー企業にとって満足できるサービスの提供が困難である」ことをサービス終了の理由にあげていました。
これはいったいどういうことなのでしょうか?
ここからは、Yahoo!スコアがおよそ1年というスピードでサービス終了に至った背景について私見を述べていきます。
結局、ユーザー、パートナー企業の双方にとって満足できるサービスにならなかったのは、ユーザー数の伸び悩みが大きな理由にあったと思います。
当初のYahoo!スコアの仕様であれば、ヤフーの膨大なユーザー数を生かすことができたものの、仕様変更によってそれも難しくなりました。
積極的にYahoo!スコアを利用しようというモチベーションがユーザーにあれば良かったのですが、炎上騒ぎもあり、登録者数が伸び悩んだと推測できます。
見えないところで個人の情報が利用されることに対して不信感を持つのは当然であり、特に日本人の国民性としても、個人情報に対しては慎重な方でしょう。
Yahoo!スコアのサービス開始当初は作成されたスコアを本人が見られず、その活用は不透明だったと言わざるを得ません。
徐々に改善されてはいったものの、一度抱かれた不信感を払拭するほどのユーザーにとってのメリットも用意できず、サービスの継続が困難だと判断して早期終了に踏み切ったのだと考えられます。
信用スコアのサービスは日本で普及しない?目指すべきサービス像とは?
現状では、信用スコアのサービスが日本において広く普及するのは難しいと思います。
なぜ信用スコアは普及しにくいのでしょうか?
また、信用スコアのサービスはどのようにあるべきなのでしょうか?
信用スコア大国中国と日本の違い
信用スコア大国ともいえる中国では、信用スコアのサービスがかなり浸透しているようです。
それを受けて、日本でも信用スコアのサービスが開始されたわけですが、今回のYahoo!スコア終了のニュースから分かるように、なかなか普及は難しい状況でしょう。
中国ではアリペイとひもづく信用スコアサービスである「芝麻信用」(ジーマクレジット)が社会インフラになっているともいわれています。
日本でイマイチ信用スコアが普及しない理由の1つは、個人情報への意識の強さです。
日本人に限った話ではありませんが、「個人情報が勝手に利用されること」、「見えないところで利用されること」は不信感に繋がります。
中国での普及率の高さは、信用スコアの活用により十分な恩恵を受けられるのであれば信用スコアを提供したいと考える人が多いこともありますし、中国だけでなく、全世界で膨大なユーザーがいるアリペイにひもづくサービスであったことも関係しているでしょう。
日本で信用スコアのサービスがより一層普及していくためには、中国でのアリペイのような何かしらの社会インフラ、もしくはそれに準ずるものと結びつくのが早いです。
やはり個人情報を扱うのであれば、その企業そのものが信用できるかどうかは重要になります。
そういう意味ではYahoo!JAPANによる信用スコア事業への参入は期待されたものの、情報の取り扱いが不透明であったこと、メリットが分かりにくかったことなどが原因で失敗に終わってしまいました。
加えて、ヤフーは日本だけでなく、世界的に見ても大きな企業かもしれませんが、ヤフーのサービスが国内で社会的インフラになっているとまではいえないでしょう。
そのため、中国のように信用スコアが広く日本で普及することは難しく、そのような企業が現れるかが今後の課題になります。
信用スコアサービスが企業・ユーザーの双方に利益をもたらすか
信用スコアサービスの理想は、ユーザーとパートナー企業の双方に利益がある関係性を構築することです。
パートナー企業にとっての利益をひとまずスコアを提供してくれるユーザー数と捉えるなら、私たちユーザーにとっての利益は何でしょうか?
信用スコアを融資サービスの審査にも活用するJ.Score(ジェイスコア)やLINE Scoreであれば、「従来の金融機関の審査では融資を受けられなかった人もお金を借りられること」、「従来の審査方式よりも良い条件でお金を借りられること」などが利益になります。
パートナー企業によってもユーザー側のメリットは異なるでしょうが、どのような利点があるのかを明確にできるかも重要なのです。
そこが明確になっていないと、自身の情報を提供する価値があるのかは判断できません。
そして、信用スコアをパートナー企業に提供することで、個人が不利益を被らないということもポイントになります。
どうしても「信用スコア」や「信用情報」といったときに、「信用できない人を排除する」という印象があります。
信用情報におけるいわゆるブラックリストはまさにそれでしょう。
信用スコアにおいては、スコアが低いことで不利益を被ることはなく、スコアが高いことで優待を受けられるといった仕組みをより分かりやすい形で実現することが求められます。
【まとめ】Yahoo!スコアがほぼ1年でサービス終了!日本での信用スコア普及には課題が多い
Yahoo!スコアはほぼ1年間でサービスを終了することになりました。
信用スコアのサービスがテレビやネットで取り上げられるようになってから数年が経ちましたが、日本においては目に見えて普及が進んだサービスとはいえないでしょう。
なかなか信用スコアが日本で浸透しないのは、私も含め、個人情報の取り扱いについては慎重な人が多いことも理由の1つだと思います。
個人情報の取り扱いで過去に炎上したYahoo!スコアがサービス終了にいったことからも、日本で信用スコアを普及させるためには、個人情報の取り扱いの透明性が非常に重要だと分かりました。
中には信用スコア自体に嫌悪感を抱いている人もいるかもしれませんが、私は、新たな取り組みで、社会がもっと便利になるのであれば信用スコアも大歓迎です。
ただし、収集した情報を適切に扱うこと、そして利用方法などが透明であることは、信用スコアに限らずすべてのサービスに求められるのでしょう。
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