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編集部コラム

生活保護を受けるには?生活保護を受ける条件と申請の流れ

「生活保護」という制度の名称を聞いたことのある人は多いと思いますが、どのような制度かを知っている方は少ないと思います。

ただ、生活保護を受けている人は200万人以上もおり、利用者の多い制度といえるでしょう。

生活保護は「働けない」、「働いても生活できるほどの収入がない」という場合に、最低限の生活に必要な金額との差額を給付する社会保障の仕組みです。

税金が財源となるため生活保護費の支給には厳正な審査がありますが、金融機関が行う審査のように一定以上の返済能力が求められるわけではありません。

そのため、どうしても生活が厳しいというときは、生活保護の受給も検討すべきでしょう。

生活保護は住んでいる市区町村の福祉事務所にて相談・申請を行えますが、利用には様々な条件があり、申請できないケースもあります。

この記事では生活保護とはどのような制度なのかという基本的な部分から、利用できる条件、いくら支給されるのか、どうやって申請するのかといった一歩踏み込んだ部分まで説明していきます。

「生活保護の受給を検討している」、「今後、生活保護を受けるかもしれない」という方はぜひ参考にしてください。

【全8種類】生活保護の内容

生活保護と一口にいっても、その内容は人によって異なります。

住宅費用や生活費用を貰えるというイメージが強いかもしれませんが、様々な面での扶助を期待できるのです。

具体的には、生活保護には次の8つの扶助があり、その人の状況に応じて利用できます。

生活保護の内容
  1. 生活扶助・・・日常の生活で必要になる費用(食費・被服費・光熱費など)
  2. 住宅扶助・・・アパートなどの家賃
  3. 教育扶助・・・義務教育で必要な学用品の費用
  4. 医療扶助・・・入院、通院などの病院代
  5. 介護扶助・・・介護サービスの利用費用
  6. 出産扶助・・・出産にかかる費用
  7. 生業扶助・・・就業するための技能習得などにかかる費用
  8. 葬祭扶助・・・葬祭で生じる費用

具体的な金額について後述しますが、生活保護は一定の基準と比較しての差額が給付されます。

そのため、月によって生活保護費の金額が変わる場合もあります。

生活保護は本当に支援を必要としている方に、必要な金額を支給する制度なのです。

以上の8種類の生活保護に加えて、妊婦加算、障害者加算、介護施設入所者加算、在宅患者加算、放射線障害者加算、児童養育加算、介護保険料加算、母子加算といった制度もあります。

該当する状況に応じて、通常の保護費に加算されていきます。

生活保護を受けるための要件

記事の冒頭でもふれましたが、生活保護は誰でも簡単に受給できるものではありません。

税金を財源としているため、本当に生活保護が必要かどうかは厳しくチェックされるのです。

生活保護を受けるためには、次のような条件があります。

生活保護を受けるための条件
  1. 資産の活用
  2. 能力の活用
  3. あらゆるものの活用
  4. 扶養義務者の扶養

言葉だけでは分かりにくいと思うので、具体例を挙げながらどのような条件があるのかを説明していきます。

資産の活用

もし売却することで生活費に充てられるような資産があるのであれば、生活保護を受けるのではなくその資産を活用しましょう。

これが「資産の活用」の考え方です。

ここでいう資産とは預貯金や生活に使っていない不動産(土地・建物)です。

もちろん、最低限の生活を送るために必要なものは処分しなくても、生活保護の申請をすることができます。

また、資産があっても処分する必要のないケースもあります。

処分して得られる金額よりも処分に要する費用が高い場合、処分するのが困難なものの場合、処分するよりもその資産を活用した方が生活を維持するのに良い場合なども処分の必要はありません。

例えば、価値の付かないような不動産は、売って賃貸アパートに引っ越すよりも、そのまま住み続ける方が経済的な負担は小さいでしょう。

能力の活用

「能力の活用」の能力とは、働くことのできる能力を指します。

例えば、「働けるのに働かない」という状況は保護の対象になりません。

制度の目的からも、ただ働きたくないという場合には保護費を受給することはできず、申請内容に嘘があったなら不正受給になるのです。

ただし、就職するための活動をしているのにも関わらず、仕事が見つからないというケースは生活保護の対象になります。

「働こうという意思があり、そのための活動をしている(が、仕事が見つからない)」「働いているが最低限の生活を送るのに必要な収入に達しない」という場合であれば生活保護を受給できる可能性があるのです。

あらゆるものの活用

生活保護は最後のセーフティネットといわれることもあり、先に利用できる制度があるのであれば、生活保護よりもそれらを優先して活用しなければいけません。

例えば、年金やその他の手当の受給資格があるのであれば、まずはそれらの活用を考えます。

そして、それらを活用しても最低限の生活を送るのに足りない場合には、生活保護の対象になるのです。

生活保護の申請は自治体の福祉事務所で行いますが、現状を相談する過程で利用できそうな制度があれば、まずはそれらを利用することを勧められるでしょう。

扶養義務者の扶養

生活保護は世帯単位での申請になります。

親族がいるのであれば、両親や子どもから援助を受けられないかを相談時に聞かれるでしょう。

これは、同居していない場合も同様で支援してくれる親族がいるのであれば、まずは親族から支援を受けることを促されます。

とくに同居しているケースでは同一生計と判断される可能性が高く、世帯の収入が生活保護を受給できる基準額を超えるケースも多いです。

ただし、親族には金銭的な援助を行う義務があるわけではありません。

そのため、親族に申請者を扶養する意思がないのであれば、問題なく生活保護を申請できます。

親族からの援助があっても生活保護を受給することは可能です。

生活保護よりも援助を優先するというだけで、それでも基準額に達しないようなケースであればその差額分の保護費を受給することはできます。

生活保護で給付される金額はいくら?

生活保護を受給する場合、その金額は厚生労働大臣が定める最低生活費を基準とします。

その基準額から申請者の収入を引いた差額が支給されることになるのです。

基準額は住んでいる地域、世帯の人数などによっても異なります。

そのため、具体的にいくらの支給になるのかは住んでいる自治体の福祉事務所で確認すると確実でしょう。

以下は生活扶助の基準額の例です。

生活扶助基準額の例(令和元年10月1日現在)
世帯の構成東京都区部等地方群部等
三人世帯(33歳、29歳、4歳)158,210円135,830円
高齢者単身世帯(68歳)78,230円65,270円
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)120,240円102,430円
母子世帯(30歳、4歳、2歳)189,580円164,670円

例えば、上記の高齢者単身世帯で月の収入が4万円だとします。

その場合には、78,230円ー40,000円=38,230円が支給されることになるのです。

ここでいう収入には労働によって得た収入だけでなく、「年金などの社会保障給付」、「親族による援助」なども含まれます。

生活保護は年金と併給することも可能ですが、年金を貰っている方はその分、支給額が減ることになるのです。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う「特別定額給付金(仮称)」については例外として収入には含まれません。

そのため、すでに生活保護を受給している人も申請をすれば10万円の給付金を受け取れますし、給付金を受け取っても生活保護費が減額されることもないので安心してください。

生活保護を申請する方法

前述の通り、生活保護は住んでいる自治体の社会福祉事務所で相談・申請をします。

自治体による差もありますが、生活保護担当の窓口があるので、受給できるかどうかの相談や申請についてはそこで行いましょう。

中には福祉事務所のない自治体もあるので、その場合には役場で相談してください。

生活保護受給の流れ
  1. 生活保護受給に関する相談
  2. 生活保護の申請
  3. 受給調査
  4. 受給可否の決定
  5. 生活保護費の支給

生活保護を受給するための要件を満たしているかは担当者に相談をした上で判断されます。

その際に頼ることのできる親族がいる、利用できる年金や手当があるといった場合には、まずはそれらを利用するように促されるでしょう。

要件を満たしているようであれば必要書類を提出し、生活保護を申請できます。

その後、詳細な調査が行われ、受給の可否が決定されるのです。

生活保護を申請してから保護開始までは2週間前後とされています。

調査の進捗状況によっては、それ以上の期間を要するケースもあるので、生活保護が必要な方は早めに相談をするようにしてください。

生活保護の調査では申請者の資産・収入を確認するための「訪問調査」、健康状態を調べるための「検診命令」、経済状況を調査するための「金融機関等への照会」、援助できる親族を確認する「扶養義務者の調査(扶養照会)」が認められています。

また、生活保護の受給期間中はケースワーカーによる調査もあります。

定期的に生活の状況を確認しながら、経済的な自立に向かって前進するためのアドバイスやサポートを受け、収入の状況が改善しているならば生活保護の停止、保護費の減額といった判断もなされるのです。

生活保護の申請で必要になる書類

福祉事務所の生活保護窓口で相談をすれば、どのような書類が必要かは指示があります。

事前に用意しておく必要はありませんが、生活保護の申請を考えている人はどのようなものを用意するのかを確認しておきましょう。

生活保護の申請で必要になる書類
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 収入証明書(給与明細書、源泉徴収票など)
  • 年金手帳、年金証書
  • 賃貸借契約書
  • 家賃の支払いの確認ができるもの(通帳など)
  • 各種健康保険証
  • 預金通帳
  • 生命保険などの証書
  • 公共料金の領収書(電気・ガス・水道など)
  • 在留カード
  • 身体障害者手帳
  • 印鑑
  • 離職票
  • 住民票、戸籍謄本

本人確認書類などはすべての申請者が共通で必要になります。

その他の書類については、調査内容に応じて必要な書類が変わってくるものもあります。

その人の状態(失業しているか、健康状態に問題があるかなど)によって必要書類は違うので、上記のものを基本として指示のあった書類は別途用意していきましょう。

生活保護費の支給方法

生活保護費は基準額から申請者が申告する収入を差し引いた金額が毎月支給されます。

先ほどもいいましたが、定期的にケースワーカーによる訪問調査もあり、支給された保護費が適切に使用されているか、収入に変化がないかなどは厳しくチェックされるので覚えておきましょう。

また、生活保護の医療扶助、介護扶助に関しては、それらのサービスを利用する際の自己負担がなくなります。

生活保護の実施機関が医療機関や介護事業者へと直接支払うのです。

【まとめ】生活保護は社会保障制度の最後のセーフティネット!まずは社会福祉事務所での相談が必要

生活保護は厚生労働大臣の決める基準額から収入を引いた差額が保護費として支給されます。

生活保護の受給には調査があり、要件を満たしているのかを厳しく調べられます。

それは国民の税金を財源とする公的な制度ということもありますが、生活保護が社会保障の最後のセーフティネットでもあるからです。

例えば、年金、他の手当を貰えたり、親族からの援助を受けられたりするのであれば、生活保護よりもそれらを優先して活用しなければいけません。

ただ、それらを利用できると生活保護を受けられないというわけではなく、それでも基準額に足りないのであればその差額が保護費となるのです。

生活保護以外にも様々な公的支援制度があるので、利用できる公的な支援制度はないかを調べることが大切になります。

生活保護の申請は住んでいる自治体の社会福祉事務所が窓口です。

まずは生活保護の申請ができるのかを社会福祉事務所で相談してください。