渦中にいる人にとっては緊急性の高い問題です。
結論を言うと、まず第一に考えるべきは、借入中の銀行への相談です。できるだけ早く相談しましょう。
ここでは以下の銀行について、相談方法をまとめています(以下に無くても、連絡さえとれば然るべき相談口を紹介してくれると思います。面倒でもまずは電話や窓口で聞いてみましょう)。
銀行で言われる対応策としては、任意売却や条件変更などが考えられます。
それらについても簡単に概要をまとめているので、一般的な前提としてザックリでも理解しておくと、話もスムーズに理解しやすいと思います。
コロナウイルス感染症による不況の影響により毎月の住宅ローン、賃貸家賃の支払いに困っているという方は、現在、住宅金融支援機構含む公的融資制度の利用要件が緩和されています。
自分が利用できる制度がないか公的融資制度をまとめた記事を用意していますので、一度確認してみることをおすすめします。
目次
住宅ローンの返済が困難になったとき
何年何十年と、長期間かけて返済していく住宅ローン。
しかしそんな長い年月であれば当然、経済面も含めてさまざまな変化があってもおかしくありません。
盤石と思えた返済計画が、気が付いたら崩れ落ちていた…そんな時、どうすれば良いでしょうか?
何をしていいか分からないけど、早く何とかしなきゃ!となったら、誰かに相談して助けてもらう方が確実です。
何もしなければ救済の道は次々と閉ざされ、最終的には大きな負担を背負うことになってしまいます。
だからといって闇雲に対策しても、結果的に自転車操業になって悪化してしまうなんてことになるかもしれません。
できるだけ早く、今できる対応をはっきりさせるために相談するのが得策です。
でもどこに行って誰に聞けばいい?
そんな疑問が出てきますよね。
まず第一に考えるべきは、借入中の銀行への相談です。
- どんな方法で相談できるか
どんな対応策を勧められることが考えられるか
ここでは、その2点について紹介していきます。
いざ銀行へ!相談方法の簡単なまとめ
以下銀行の相談方法を簡単にまとめました。
窓口に出向く場合は、相談時の持ち物についても確認しておきましょう。
ソニー銀行
- ローン専用ダイヤルでの電話相談
- 店舗「CONSULTING PLAZA」(東京都中央区銀座)にて、来店での対面相談
- 以下、銀行代理業者の相談窓口
銀行代理業者の相談窓口
スターツ証券株式会社
- 「住まプラ+」にて、来店での対面相談
- 指定場所への訪問による対面相談(従業員が訪問可能な範囲で、顧客の指定場所に出向く)
東急保険コンサルティング株式会社
- 店舗「東急ほけんのコンシェルジュ」来店での対面相談
アルヒ株式会社
- 直営店舗にて、来店での対面相談
- 来店不要のビデオチャット相談(動作環境が必要、顧客の顔はARUHI担当者には見えない)
東海東京証券株式会社
- 店舗「MONEQUE」のうち一部にて、来店での対面相談
株式会社バリュー・エージェント
- 来店、または指定場所への訪問による対面相談
株式会社カスタマーリンクス
- 来店、または指定場所への訪問による対面相談
- メールや電話での問い合わせ
イオン銀行
- 来店での対面相談
- ローン専用ナビダイヤルでの電話相談
じぶん銀行
- 住宅ローン窓口のコールセンター(住宅ローンセンター)での電話相談
- KDDI直営の携帯電話販売ショップにて、じぶん銀行の窓口での対面相談
三菱UFJ銀行
- 来店、無料相談会での対面相談
- ATMコーナー等にあるテレビ窓口での相談
- 住宅ローンご返済相談受付ダイヤルでの電話相談
新生銀行
- 来店での対面相談
- ATMコーナー等にあるテレビ窓口での相談
- 電話相談
- Skypeによる対面相談
住信SBIネット銀行
- 返済に関する専用の電話相談窓口(対面不可)
- インターネットでの問合せ受付
※対象のローンが「ミスター住宅ローンREAL」や「フラット35」の場合、専属銀行代理店や提携先の「SBIマネープラザ」「ARUHI」にて対面相談可能としていますが、実質としては申し込み専用窓口に近いようです
借入中の銀行に相談することがまずは第一!でも他の相談先はある?
銀行の次に考えられる相談先としては、以下のような専門家が挙げられます。
銀行以外で相談したいと考えた時には参考にしてみてください。
FP(ファイナンシャルプランナー)
一言で言えばお金のプロです。特に独立系のFPは、個人のライフプランニング・マネープランニングに強く頼りになる可能性が高いです。
不動産の専門家、住宅ローン問題の専門家、任意売却や競売の専門家
方向性が定まった後や、または対応策の検討段階でも、専門家だからこそ聞ける意見は参考になるはずです。
弁護士事務所
上記の専門家と同じく意見を聞いたり、銀行への交渉などで頼りになります。
ただし、弁護士は法律の専門家であって不動産の専門家ではありません。
相談すれば頼りになる場面もあるかもしれませんが、専門として対応できる範囲に限りがあることも理解しておきましょう。
一般社団法人全国銀行協会(全銀協)
日本の国内で活動している民間銀行のほとんどが加盟している、銀行の発展や消費者保護に取り組む協会です。
住宅ローンについて「カウンセリングサービス」という形で、専門カウンセラーや銀行業務に精通した相談室職員が相談を受け付けています。
他の窓口では銀行とのトラブル相談等も受け付けているので、覚えておくと良いかもしれません。
以上が銀行以外の相談先です。
話を戻しましょう。
銀行に相談すると、どんな対応策を勧められるでしょうか。
ざっくりとになりますが、概要を紹介します。
相談で勧められることが考えられる対応策
「条件変更」「条件付きで返済額を減らす」が早めに取るべき選択肢になり、相談で挙げられる可能性が高い対応です。
条件変更
以下は借入額そのものを減らすわけではなく、むしろ期間が延びることで総額が増えるものもあります。
根本的な解決ではない事をしっかり認識して検討することが必要です。
返済猶予、返済額の軽減申請
一定期間、利子分のみを支払い、元本の支払い可能な状態になれば返済再開します。
または返済額の軽減申請をして、一定期間の支払額を減額します。
病気やケガによる休業など、近い将来に収入が回復する見込みがある場合のみの対応策となります。
リスケジュール
収入の減少などの場合で、返済期間の延長申請をして月ごとの返済額を減らし、無理なく返済できるようにします。
ボーナス返済の変更・取り消し
ボーナスが出る月に、ボーナス分から別途支払う支払い分について、減額またはなくし、負担を減らします。
住宅を売却・貸し出しすることで返済額に充てる
任意売却
不動産業者の仲介で、住宅を売却する方法です。
競売と同じ売却という手段ですが、任意売却は多くのメリットがあるので、競売しか選択肢がなくなってしまう前に、検討しておくようにしましょう。
任意売却では市場価格に近い価格で落札され、落札金額の中から引っ越し代に充てる金額や、引っ越し時期の相談ができます。
競売情報が公開される事もありません。
JTIを通じた自宅の貸出
条件が合う場合の一部のケースでのみ実施できます。
良い場所にあるなど、市場価値が高い住宅であれば、賃貸に出して賃料収入を返済に充てる方法です。
定期借家契約になるので、返済見込みがついたら賃貸をやめて再度住むこともできます。
通常のローン物件は貸し出すことができませんが、移住・住みかえ支援機構(JTI)が提供する「マイホーム借り上げ制度」であれば賃貸に出すことができる場合があります。
また、この項目の主旨とはやや違ってきますが、以下についても紹介しておきます。
競売
何もせず放っておくと選択肢がどんどんなくなり、最終的に取らざるを得なくなる対応です。
こういった状況にならないために、早めの相談をするようにしましょう。
競売は、裁判所の競売手続で一番高い値段を付けた人が購入権利を得ることになります。
落札金額は市場価格よりかなり低い金額となります。
落札金額から競売費用などを差し引き、残りは全て借入の返済に充てられるため、引っ越し費用などは残りません。
また、落札されると落札者の都合で強制退去となり、引っ越し日は協議できません。
裁判所への法的手続き
個人再生
債務整理のひとつであり、債務を減額してもらう手続きです。
住宅ローン以外の債務のみ整理することで住宅を手放さず、他の借金だけを減額することができる制度があり、「住宅資金特別条項」や「住宅ローン特則」と呼ばれています。
条件に当てはまれば他の借金を減額し、住宅ローンはリスケジュールしながら住み続けるといったことが可能です。
自己破産
持っている財産を全て清算処分(現金化)して借金を返済し、残りの借金を免除してもらう手続きです。
一定の財産・現金は、今後の生活をしていくために残してもらえます。
ただし官報で公告される上、いわゆるブラックリストに載ることになり、クレジットカードが使えなくなるなどの弊害も出ます。
債務者が支払い不能にあるときという条件で適用される、最終手段に近い対応です。
住宅ローン返済困難は時間との勝負
住宅ローンで「よく分からないけど何かヤバイ!」という状況になった時は、まずは借入中の銀行に早めに相談しましょう。
冒頭でもチラッと書きましたが、ここでもう一度注意した方が良いことを載せておきます。
早く対策した方が良いとはいえ、闇雲な対策、特によく分からないまま自分だけで動くことは危険です。
とくに危ないのが、より利息の高い消費者金融やカードローンなどに借り換えて、急場をしのごうとする方法です。
特別な計画や事情がなければ、手を出さないようにしましょう。
日本にある金利の中で、最も金利が低いものの一つが住宅ローンです。
そんな住宅ローンの返済が難航している時点で、他の資金調達での改善は難しいということになります。
手遅れにならないうちに、早めに相談して対策を取るようにしましょう。
もし今、住宅ローン返済に少しでも危機感を抱いているようでしたら、相談のタイミングと考えて良いです。
不安要素が出てきたとき、毎月の支払いが苦しいと感じてきた時なども相談のサインです。
返済が滞る前に相談した方が、銀行も対応が良く、返済計画の見直しなどを前向きに考えてくれます。
あれ?と思ったら、早めに銀行へ相談をするようにしましょう。