6月26日の記者会見で梶山弘志経済産業相は、持続化給付金の対象を拡大し、29日より新規対象者の申請受付を開始すると発表しました。
これまでは持続化給付金の受給要件を満たせなかった中小法人・個人事業主の方でも、29日から申請できるケースがあるのです。
経済産業省の公式HPでは、次の2つに該当する事業者が新たに支援対象に追加されると案内されています。
- 主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者
- 2020年1月〜3月に創業した中小法人・個人事業者
持続化給付金の申請は原則オンラインで、給付金額は中小法人だと最大200万円、個人事業者だと最大100万円です。
この記事では、持続化給付金の支援対象がどのように拡大されたのかについて説明していくので、新型コロナにより売上が大幅に減少したものの制度の対象外だった事業者の方はぜひ参考にしてください。
ちなみに、個人事業者向けに持続化給付金とはどのような制度なのかについては前回の記事で解説しています。
給付額の計算方法なども説明しているので、あわせて確認することをおすすめします。
目次
29日から新たに持続化給付金の申請ができる事業者
6月29日より新たに持続化給付金の申請が可能になったのは、分かりやすくいうと①「雑所得・給与所得で事業による収入を得ているフリーランス」、②「2020年1月〜3月に創業した事業者」です。
持続化給付金は新型コロナウイルスの影響によって売上が基準よりも50%以上減少した事業者向けの給付金です。
そのため、収入を雑所得や給与所得で確定申告をしていたフリーランス、今年創業した事業者に関しては対象外とされていました。
現行の支給要件では新型コロナによる影響を受けながらも制度の対象から外れてしまう事業者がいるという指摘は以前よりあり、今回、対象が拡大されることとなったのです。
ただし、特に①に関しては少し特殊な事情を考慮した措置なので、収入が事業によるものかを確認するための書類も必要で、通常の個人事業主の申請よりも給付までに時間がかかるでしょう。
今回、新たに対象となった事業者は、これまでも制度の対象だった個人事業主や中小法人とは受給要件、提出する書類が異なるので注意してください。
それぞれのケースについて説明していきます。
雑所得・給与所得で事業による収入を得ているフリーランス
持続化給付金は事業者向けの給付金であるため、本来であれば確定申告において事業所得の計上がない方は対象外です。
ただ、事業の状況・内容などによっては、収入を雑所得や給与所得として確定申告を行なっているケースもあります。
今回の対象拡大はそのようなケースにも対応するための措置なのですが、このような場合は、得ている収入が事業によるものなのかを示せるかがポイントになるでしょう。
そのため、このケースでの申請は「業務委託契約等にもとづく事業活動からの収入」に限定されます。
受給要件
収入を雑所得・給与所得で計上していたフリーランスが持続化給付金を申請するためには、次の3つの条件があります。
- 雇用契約によらない業務委託契約等にもとづく収入であって、雑所得・給与所得として計上されるものを主たる収入として得ており、今後も事業を継続する意思があること
- 今年の対象月の収入が昨年の月平均収入と比べて50%以上減少している
- 2019年以前から、被雇用者または被扶養者ではない
②に関しては従来の要件と一緒ですが、①、③が要件に追加されています。
①で注意しなければいけないのは、確定申告で事業収入があった場合、通常の「個人事業者向け」での申請になるという点です。
取引先などによって、事業所得、給与所得それぞれを計上している場合には、これまでの制度にもとづいて持続化給付金を申請することになります。
また、③はこれまでの制度になかった要件になるため注意してください。
経済産業省の公式HPでは、新たに対象となった「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等向け」の申請要領、申請規程、給付規程を確認できます。
必要書類
雑所得・給与所得で事業による収入を得ているフリーランスの場合、持続化給付金の申請に次の書類が必要です。
- 前年分の確定申告書
- 今年の対象月の収入が分かる書類(売上台帳など)
- ①が業務委託契約等の事業活動によるものだと示す書類※
- 国民健康保険証の写し
- 振込先口座通帳の写し、本人確認書類の写し
上記③に関しては、以下の中のいずれか2点を提出する必要があります。
また、源泉徴収票を提出する場合は必ず以下①の書類も必要なので注意しましょう。
- 「業務委託等の契約書の写し」または「契約があったことを示す申立書」
- 「支払者が発行した支払調書」または「源泉徴収票」
- 支払いがあったことを示す通帳の写し
2020年1月〜3月に創業した事業者
次は2020年1月〜3月に創業した事業者の場合についてです。
今年の3月までに創業した事業者の場合、新型コロナにより売上が減少したのかを前年と比較できません。
そのため、今年の3月までの収入の月平均を基準とし、4月以降の特定月の売上が基準よりも50%以上減少しているかが要件になります。
例として、以下のようなケースを見てみましょう。
月 | 売上 | 備考 |
1 | 30万円 | 月平均 30万円 |
2 | 35万円 | |
3 | 25万円 | |
4 | 20万円 | 要件を満たさない |
5 | 18万円 | 要件を満たさない |
6 | 15万円 | 月平均の50%以上の減少により要件を満たす |
〜 | 〜 | 〜 |
11 | ||
12 |
今年の1月に創業した場合、1月〜3月までの平均売上が基準になります。
上の例でいえば、「(30万円+35万円+25万円)/3=30万円」なので、月の売上が15万円以下になれば売上減少の要件を満たすことになるのです。
要件を満たし給付金額を計算する際の基準とする月を「対象月」といいます。
創業した月から対象月までの各月の売上金額は、「税理士が確認した毎月の収入を証明する書類」によって確認されるため、今年創業の事業者については税理士に相談する必要があるでしょう。
持続化給付金の申請要件は経済産業省HPで確認できる!
先ほどもふれましたが、持続化給付金の申請要件の詳細については経済産業省の公式HPで確認できます。
「この場合はどうなるの?」、「ここをもっと詳しく知りたい!」という場合は、申請要領や規程を確認すると良いでしょう。
中小法人、個人事業者、フリーランスそれぞれの要領と規程へのリンクをまとめたので、そちらも確認するようにしてください。
中小法人等 | 個人事業者等 | フリーランス |
申請要領 | 申請要領 | 申請要領 |
申請規程 | 申請規程 | 申請規程 |
給付規程 | 給付規程 | 給付規程 |
申請要領では具体例も記載されており、かなり詳細に説明されています。
また、これらを確認しても不明点がある場合には、申請前の相談専用窓口が用意されているので、問い合わせも可能です。
直通番号 | 0570-015-078 |
---|---|
受付時間 | 8時30分〜17時00分(平日のみ) |
【まとめ】持続化給付金の対象が拡大!現行制度との受給要件の違いに注意
持続化給付金の対象が拡大され、6月29日より新規対象者の申請受付が開始されました。
これまで対象外だった事業者の方も要件を満たせば申請できるので、事業者への支援が手厚くなったといえます。
筆者も個人事業者なので、国から事業者への支援が充実するのは単純に嬉しいです!
もちろん、まだまだ厳しい状況は続きそうですが、特に今回の対象拡大によって申請が可能になった事業者の方は胸を撫で下ろしているのではないでしょうか?
新規対象者である「事業による所得を雑所得・給与所得として計上したフリーランス」、「今年の3月までに創業した事業者」で、新型コロナによって売上が減少した方は申請要件を確認しましょう。
現行の制度とは受給要件や提出する書類が違うため、それらをしっかりと確認するようにしてください。
申請内容を審査した結果、要件を満たしていないと判断されると給付金を受け取ることはできません。
また、これまでの対象者よりも確認事項が増えるため、申請から給付までは従来よりも時間がかかる見込みです。
申請を考えている方は、早めに手続きを進めるようにしましょう。
また、新型コロナによって売り上げが減少した事業者向けの「家賃支援給付金」もあります。
さまざまな公的融資や給付金を利用して厳しい状況を乗り越えていきましょう。
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