目次
住宅ローンの審査は大きく次のような項目が対象です。
- 個人信用情報
- 借り入れ希望額
- 勤務先、職種
- 勤続年数
- 健康
- 年収
これらすべての条件で定められた基準を満たせば審査は通りますが、該当しない条件によって対策が変わります。
個人信用情報
住宅ローンの審査の際の大前提です。
銀行に提出された書類は審査機関である保証会社が個人信用情報を取り寄せ、延滞情報や異動情報がないかを確認します。
自覚がなくとも最近では携帯電話の分割払いの引き落としがされなかったことを原因とした異動情報が付いてしまうケースがあります。
異動情報はいわゆるブラックといわれ、5年間は消えないとされます。
延滞でも住宅ローン不可になる銀行はあり、さらに異動までついてしまうと通常の銀行からの融資は受けられません。
異動情報が消えるまで住宅ローンを延期することが基本ですが、どうしても異動情報があっても審査を通したい場合は、三井住友信託銀行の子会社である三井住友トラスト・ローン&ファイナンスがあります。
デメリットとしては金利が店頭表示金利+ αになること、手数料が高いことがあるため、返済に余裕がない方はお勧めしません。
資金的に大きな余裕があり、長期間の借り入れの場合は個人信用情報がクリーンになってからの借り換えも視野に入れましょう。
借り入れ希望額
住宅ローンで借入れできる金額のおおよその目安として年収の7倍以内を基本とすることが多く、8倍までは勤務先や年収に応じては可能です。
10倍を超えると審査は通りません。
審査の際には返済比率を計算して決められた範囲内でないと審査が通りません。
勤務先、職種
サラリーマンであれば住宅ローンの審査はそれほど難しいものではありませんが、危険を伴う職種や収入が安定しない職種の場合は審査が厳しめになります。
その際には、銀行の住宅ローンでは物件価格の2割以上の頭金の準備が必要になります。
また、職種がマイナスポイントの場合に勤続年数も短いと審査が通りませんので、勤続を長くする必要があります。
この例では、年収さえあれば、職種や勤務先、雇用形態の影響を受けないフラット35で審査が可能です。
勤続年数
多くの銀行がルールとしては、1年以上ないし2年以上の勤続が必要とされます。
しかしながら転職後3ヶ月ほどの勤続でも審査可能な銀行はあります。
全国展開している銀行では三井住友銀行などがそれに該当します。
半年以上あれば、イオン銀行も審査可能になります。
この場合は給与明細をできる限り多く用意しておくのが良いでしょう。
健康
フラット35以外の銀行の住宅ローンでは団体信用生命保険に加入しなければならないため、生命保険に入れないような告示事項がある場合、住宅ローンの審査自体が通らなくなります。
団体信用生命保険は銀行によって保険会社が違うため、告知事項が若干違います。
どの保険会社でも加入できなくなる持病があるときは、ワイド団信と呼ばれる団体信用生命保険がある銀行を選びましょう。
ワイド団信は加入条件が広くとっている団体信用生命保険です。多くの場合に金利に0.3%を上乗せすることになります。
みずほ銀行などで取り扱いがあります。もし、ワイド団信にも加入できない場合は、フラット35で団信加入なしを選択することになります。
年収
住宅ローンの審査通過のための年収ですが、1つのボーダーが400万円と言われます。
住宅ローンの審査で言われる年収とは税込の源泉徴収票で最も大きな金額のことです。
住宅ローンの審査には返済比率と呼ばれるものが重視されます。簡単に言うと、年収に対して1年間のローン返済額の負担です。
例えば同じ年収でも返済期間が長ければ1年間の返済額は少なくなりますよね。
逆に返済期間を短くするようとすればするほど1年間の返済額が上がり年収に占める住宅ローン返済比率も高くなります。
これは「家賃は手取りの3分の1までに抑えよう」と言われるものと同じ考えです。
注意したいのは返済比率の計算には、毎月分割払いで払っているようなマイカーローンや、クレジットの分割払い、こういったものも組み込まれてしまうため、マイカーローンがある場合には年収によっては審査がそれだけで通りません。
400万円ボーダーと言われるのは、400万円を1円でも超えていた場合には返済比率が40%まで借りられるようになる銀行が多いからです。
逆に満たない場合は返済比率が35%までとなり、借り入れ希望額に届かない可能性が高くなってきます。
年収が足りない場合のリカバリー策
配偶者の所得を合算する
住宅ローン審査基準に年収が足りない場合ですが、既婚であるなら配偶者の所得を合算して世帯収入として審査してもらうこともできます。
正社員であることが望ましいですが、扶養内のパートやアルバイトなどでも世帯収入として計算できる銀行はあります。
パートの勤続が数ヶ月でも一年分に割りもどし計算ができることがあるので、年収が足りない場合は配偶者に数ヶ月だけでも働いてもらうのが住宅ローンの審査を通す近道です。
ただ、これにも落とし穴が1つあります。
多くの銀行では、主たる債務者の年収の半分までしか合算できないというルールがあり、主たる債務者の年収が少ないと配偶者の年収を思うように合算できません。
一部の銀行ですが、扶養内での勤務であっても、三重に本店を構える第三銀行などは全額を世帯収入に組み込めます。
もし扶養を超えてパートの収入があり健康保険証がパート先から出ている場合は、イオン銀行などはパートの年収でもすべて合算できるので、世帯収入が大きく伸ばせます。
フラット35は審査に通りやすい
全期間固定の住宅ローンとして有名なフラット35ですが、実は審査に関しては最も間口が広いものなのです。
フラット35は独立行政法人である住宅金融支援機構が運営しており、窓口は民間の銀行になります。
住宅ローンの中身はどの銀行でも変わりませんが、金利が一律ではなく窓口の銀行によって変わってきます。
つまり、窓口の銀行が取る手数料が違うということですね。
フラット35では正社員以外の場合でも借り入れが可能で、派遣社員やパート・アルバイトでも構いません。
勤続年数が1年未満でも割り戻し計算で1年分の年収として審査可能です。
年収が借入希望額に対して明らかに少ない場合以外は通る可能性が最も高い住宅ローンです。
どの銀行でもフラット35の取り扱いはあることが多いですが、銀行によって力の入れ具合が違いますので随分と手数料が変わってきます。
イオン銀行やりそな銀行はフラット35の金利が低く、手数料が割安になるキャンペーンを不定期に行うことがあります。
フラット35が使えない場合
自営業などで所得の申告を極端に抑えてある場合などはフラット35が使えません。
その場合には銀行の住宅ローンを検討しますが、直近3期の確定申告が黒字続きであることが必要で、1回でも赤字が入ると審査は厳しく、すべて赤字ですと審査は通りません。
また、3期分の所得の平均を出して審査するため、増減が激しいと審査への影響が大きいです。
所得の申告があるが、フラット35を審査できるほどの所得に届いていない場合は、補足情報で銀行で審査が可能なことがあります。
補足情報の例として次のようなものが挙げられます。
- 実家の場所や、持ち家の有無
→ 県内や近所など近くに両親がいる場合には今後、援助が見込めるという材料になります。 - 資格の有無
→ 医師や弁護士などの国家資格等を持つ特殊な仕事の場合は評価が高くなります。 - 頭金の有無
→本体価格の2割以上の自己資金を用意します。
本体価格以外の諸費用まで借りることはほぼできません。
自営業には比較的、信用金庫系が有利に審査できることが多いです。
フラット35が基本、厳しい審査ほど頭金が必要
住宅ローンの審査ではフラット35が通る可能性が高いことが多いです。
いずれにせよ住宅ローンの審査が厳しくなった場合に最初に求められるのが、頭金です。
また、審査に通っても条件がギリギリだったり厳しい内容の場合は物件本体価格までの融資になることが多いので、やはり頭金を多めに準備する必要が出てきます。
審査に不利な条件に応じて、銀行を選んでいきましょう。