オーバーローンとは
住宅ローンというのは、基本的に住宅を購入するための資金として融資を得ることになっています。
そのため、ローンの申し込みをしたときには、担当者は購入する予定の住宅の金額がわかるものや、その他の費用の明細などについて、書類の提出を求めるとともに、不明なものについては直接聞き取りも行われます。
仮に、これらの書類を偽造したり、金額が変更になったことを隠し、住宅の取得資金よりも高額の融資を受けた場合には、一括での返済を求められます。
また、法律違反にもなりますので、場合によっては裁判所に呼び出しを求められるような大きなトラブルにも発展します。
これが住宅取得時におけるオーバーローンの意味です。
一方で、返済中のオーバーローンという言葉は、借入額が担保として提供した住宅の価値を上回っているときによく使われます。
例えば、住宅ローンが払えなくなったとき、金融機関は差し押さえや競売を行いますが、これによって住宅を売却したとき、ローンの残債務の方が高額になる物件をオーバーローンといいます。
新築住宅は築年数が浅いため、物件の価値が高くなっていますが、中古住宅を購入してリフォームをしたとき、自然災害や火災などで住宅の価値が著しく損傷したときなども、ローンが上回るケースになるでしょう。
いずれにしても、このような場合には物件を処分したときに残るローンの債務を払い続けなければなりません。
住宅を失い、賃貸物件の家賃を払いながら、残った住宅ローンを払っていくという負担の大きい状況になってしまいます。
購入時のオーバーローン
住宅を購入するときには、金融機関の担当者が細かく借入希望額の内訳を聞いてきますし、それを証明するための資料の提出も求められますので、オーバーローンになることはほとんどありません。
しかし、中には住宅の購入以外の目的で、多めに融資を希望する人もいます。
消費者金融などの、無担保で借り入れができるキャッシングやカードローンの場合、年利は大体15~20%ですし、借りられる金額も上限が年収の3割までと決められていますし、はじめのうちは信頼性もありませんので、せいぜい数十万程度です。
しかし、住宅ローンの場合には、数千万円の融資を受けることが可能ですので、これに含めて100万円単位の自由に使えるお金を借りて、低い金利で返していきたいと考える人も出てきます。
最初に提出した書類から、値引きなどの変更があってもそれを金融機関に黙っていたり、書類を偽造して申し込みをするなど、さまざまな方法で購入資金以外の目的でお金を借りようとするでしょう。
この場合、金融機関を欺いて借金をすることになりますので、金融機関からは一括で返済を求められます。
数十年かけて返済するべき金額を一度に払えるはずもなく、ほとんどが住宅を処分して返済資金にあてます。
しかし、処分するときの金額は購入代金よりも安くなりますので、残ったローンはその後も払い続けていかなければなりません。
さらに、悪質な内容については、刑事事件として逮捕されることもあり、リスクが大きすぎます。
申し込みをするときには、きちんと必要金額を借りるようにしましょう。
債務超過のオーバーローン
住宅ローンを返済している途中では、返済が困難になる時期も発生するでしょう。
けがや病気による休業、車の買い替えや家電の故障といった突発的な支出、失業など、その原因はさまざまですが、この時期を乗り越えられるだけの資金を手元に残しておかなければ、ローンの返済が滞ってしまいます。
住宅ローンは、約定通りの支払いをしないときには、利息よりも率の高い損害金に切り替わります。
こうなると、さらに返済が困難になり、最終的にはブラックリストに掲載されるうえ、住宅は競売にかけられて他の人のものになってしまうでしょう。
このとき、住宅の売却金額はローンの支払いに充当されますが、オーバーローンの物件では、支払いが残ってしまいます。
そのため、住宅を失うだけでなく、残りのローンも支払い続けることになります。
新築の住宅でも、競売では売却金額が安くなりますので、できるだけ高く売るために任意売却の相手を探すことがあります。
例えば、そのまま自宅に住みたいという場合には、親戚などの協力者が任意売却で住宅を買い取り、債務者が住宅ローンを払い続けながら、親戚に支払いをするというケースです。
もちろん家を出ていく覚悟で、競売よりも高い金額で買い取ってくれる他人を見つけ、住宅を明け渡すケースもあります。
ただ、中古物件はもともとの価値が低いため、任意売却にしてもあまりよい売値にはなりません。
購入金額が安いので、中古物件を買ってリフォームをするという世帯も多いですが、購入するときにはよく考えてから決めましょう。