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住宅ローンの返済総額ってどれくらい?基本的な考え方から減らし方まで紹介!
住宅ローンを組む場合、結局全部でどれくらい支払うことになるのでしょうか?
もちろん借り入れるお金や期間、そしてローンの金利や種類によって違ってきますが、この記事では基本的な考え方やイメージを理解できるよう解説していきます。また、実際に試算した結果や、返済総額を減らす方法についても紹介します!
総返済額の内訳
住宅ローンの返済総額、つまり毎月返済していき最終的に支払うことになる合計額は、元本と利息で構成されています。
基本的に、元本 + 利息の金額を毎月支払うことになります。
「元本」は借りた金額そのものです。3,000万円を借り入れてローンを組む場合、元本は3,000万円ということになります。
「利息」というのは、お金を借りている間に払う金額のことで、組んだ住宅ローンの金利と、まだ返済していないローンの残額を使って計算した金額です。ローンの残額のうち、何パーセントという金利の割合分が利息になります。
つまり返済してローンの残額が減ると、利息も減っていくことになります。
金利タイプ別の試算
実際の返済総額はどれくらいの金額になるのでしょうか?
今回は借入金額3,000万円、借入期間は20年として、3つの金利タイプで試算してみます。
試算してみる
借入金額:3,000万円
借入期間:20年
金利タイプ:変動金利、固定期間選択金利、全期間固定金利で試算する
※「ボーナス返済なし」「元利均等返済」とする
※借り入れに必要な諸費用については、以下の想定
(融資手数料、保証料、団体信用生命保険料などは考慮しない)
- 印紙税(ローン契約):2.0万円
- 登録免許税(抵当権設定):3.0万円
- 抵当権設定のための司法書士報酬:6.0万円
合計 :11.0万円
想定金利
変動金利 | 固定期間選択金利 | 全期間固定金利 |
当初5年間 0.45% | 固定金利期間 0.55% | 0.65 % |
6~10年目 0.75% | 0.55% | 0.65% |
11~15年目 1.05% | 期間終了後 1.05% | 0.65% |
16年目以降 1.35% | 1.35% | 0.65% |
※変動金利は、5年ごとに0.3%上昇として想定
※固定期間選択金利は、固定金利期間10年 + 期間終了後、変動金利として想定
毎月の返済額
変動金利 | 固定期間選択金利 | 全期間固定金利 |
当初5年間 130,732円 | 132,029円 | 133,334円 |
6~10年目 133,677円 | 132,029円 | 133,334円 |
11~15年目 135,683円 | 135,353円 | 133,334円 |
16年目以降 136,710円 | 136,377円 | 133,334円 |
総返済額・総支払額と内訳
変動金利 | 固定期間選択金利 | 全期間固定金利 |
総返済額 32,208,108円 | 32,147,266円 | 32,000,232円 |
うち利息分 2,208,108円 | 2,147,266円 | 2,000,232円 |
利息割合 6.9% | 6.7% | 6.3% |
諸費用 110,000円 | 110,000円 | 110,000円 |
総支払額 32,318,108円 | 32,257,266円 | 32,110,232円 |
試算結果について
結果を見ると、この想定では全期間固定金利タイプの総返済額が最も少なくなりましたね。
金利が上昇する想定で、かつ短期間でなかったため、逆に変動金利タイプが最も高い結果となりました。
変動金利タイプについて
変動金利タイプは、全期間の固定金利タイプと比べて金利が低く設定されていることが多いですが、後から金利が上昇するリスクもあります。
世の中の金利水準に左右されるため、資金に余裕があるか、短期間で返済する場合に適した金利タイプです。
試算では、市場の金利水準が少しずつ上がっていくパターンを想定しました。20年という期間で金利上昇を想定したため、今回は最も高い金額になっていますが、短期間返済であれば他の金利タイプより安くなる可能性も高い金利タイプです。
今回で言うと10年で完済する想定にすれば全期間固定金利より安く、5年完済の想定なら最も安い試算結果になります。
短期間にすると毎月の返済額は多くなってしまいますが、結果的に早く完済できます。資金に余裕があり、利息を大幅に減らしたいのであれば、変動金利タイプで考えても良いかもしれません。
ただし、金利が安定しない分、変動金利タイプこそ注意が必要であり、予想が外れることもあると認識しておきましょう。
固定期間選択金利タイプについて
一定期間の間、固定金利タイプとして返済し、所定の期間が過ぎるとまた金利タイプを選択するプランです。特に手続きをしなければ、原則としては自動的に変動金利に切り替わるため、この想定でも11年目から変動金利タイプに切り替えています。
一般的に固定期間選択金利は、変動金利と同じくらいか、時にはそれ以上に低い金利設定になっていることもあります。固定期間が終わる頃の金利水準によっては一気に高金利になることもあるので、注意が必要です。
設定した期間中は教育費等で支出が多くなる、または収入は少ないが期間中に上昇予定という場合に、このタイプが合っていると言えます。
今回の想定では、変動金利で書いたように金利水準が少しずつ上昇するパターンになっています。そのため、固定期間が過ぎると急に金利が上がる形となっています。
期間中は固定金利のため、途中で金利が上がり始めた時などに、期間終了まで金利タイプを切り替える踏ん切りがつきづらいという特徴もあります。しかし、全期間固定金利より安い金利と、固定金利の安定性を両方取り入れられる可能性もある金利タイプです。
全期間固定金利タイプについて
この試算のように金利が上昇する状況であれば、返済期間を長期間にしたい場合は最も合っていると言える金利タイプです。
長期間に分割するゆえの支払いのしやすさと、金利が固定されている安定度から、毎月のやりくりがかなり楽になりそうですね。
とはいえ、返済期間が長いということは、その分利息の総額も多くなるということは認識しておきましょう。収入が少なくなった等で月々のやりくりを楽にしたい、安定した収支計画を立てたい、といった場合に適していると言えます。
諸費用について
上記の試算に「諸費用」というものが登場していますが、ここでその諸費用についても少し紹介しておきますね。大事なので!
総返済額は元本 + 利息ですが、実際には借り入れに必要な諸費用も支払うことになります。今回はイメージしやすいように、最後に最低限必要となる諸費用も含めた総支払額も合算しました。
諸費用は、ローンを組む際に必要になる保証料・事務手数料・印紙代・登記費用といった費用の総称です。
住宅ローン選ぶ時はまず金利タイプを決め、次にどの銀行から借り入れるか返済額を試算・比較して決める、という流れが一般的…というかおすすめです。
そしてその試算・比較の際には諸費用も含めた「総支払額」で比較していく必要があります。
支払う金額すべてで試算しなければ、結局トータルで安いのか高いのかは見えてきません。実際に選ぶときには各銀行のシミュレーションサイトなどを使いながら、総支払額で比較するようにしましょう!
総返済額を減らすには?
「総返済額を減らす」という点だけで考えるのであれば、以下の方法が考えられます。
- 住宅ローン控除を利用する
- 返済期間を短く設定する
- 頭金を増やす、繰り上げ返済をする
- 借り換えをする
上記について、簡単に紹介しますね。
住宅ローン控除を利用する
住宅ローン控除とは、住宅ローンの残高に応じて最長で10年間、所得税や住民税を控除してもらえる制度です。対象になるための条件や、控除金額の上限があり、さらに確定申告をすることも必要になってきます。利用できればお得な制度です。
この制度の対象になるために返済期間を長く設定しておいて、制度の対象から外れたら繰り上げ返済する、という方法で控除を受けるのもひとつの手です。
返済期間を短く設定する
長期間借りれば借りるほど、それだけ利息が発生します。そのため、月々の返済額を高く設定することによって返済期間を短縮し、最終的に支払う総返済額を減らすという方法です。
ただし、無理して毎月の返済額を高くしすぎると、毎月の負担が増え、いざという時に手持ちの現金がない!という事態になってしまう可能性もあります。様子を見て繰り上げ返済をするという手もありますので、あまり無理をしないようにしましょう。
頭金を増やす、繰り上げ返済をする
同じく返済期間を短縮する方法として、まず最初に多めに支払っておく、または繰り上げ返済をするという方法もあります。ただしこちらも「無理は禁物」です!
資金に余裕がある時、またはボーナス月に多めに返済することができれば、それだけ早く完済することができるかもしれません。
ですが、直後に出費が増えたり、金利が上がる(変動金利の場合)といったことが発生して、手持ちの現金がなくなるといったことがないように注意する必要があります。あくまで余裕を持つようにすることが大切です。
なお、繰り上げ返済には「毎月の負担を軽くするために、返済期間は変えずに繰り上げ返済する」という返済額軽減型もありますので、間違えないように注意してください。こちらは返済期間が変わらないため、利息の減額効果は小さくなります。
また、繰り上げ返済に手数料がかかる場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
借り換えをする
住宅ローンの借り換えとは、借り換え先にしたい新たな銀行からお金を借り入れ、そのお金で現在の住宅ローンを完済することで、住宅ローンの返済先を変更することです。
金利が低くなった時により条件の良いプランを見つけて借り換えることで、利息が安くなったり、特典や手数料で利便性が得られるといったメリットを期待して行います。
一般的に推奨される以下の目安や、総合的な試算によるメリット・デメリットの検討をしたうえで、行動に移すことが必要です。
借り換えメリットが出やすい目安
- 借り換え前後の金利差が1%以上ある
- ローンの残額が1,000万円以上ある
- 残りの返済期間が10年以上ある
特に総返済額の試算と諸費用をしっかりと考慮することが大切になってきます。しかし、十分にメリットがあるならとてもお得になる方法です。